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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

遅まきながら転院です    皿海英幸
  紹介状を読んでいた内科医がつぶやく。「大変な手術をされたのですね」
「えっ、はい」生返事の私。糖尿病の指導をお願いしようと思って来院したの
で私にとっては意外な出だしだった。スキルス胃がんといえばやはりこう来る
のかな。
  「十月の日付になっていますが、以後はどうされていたのですか?」「他の
日付の文書はないですか。五月末までは岡山医療センターに通っていたのです
が」「ああ、そうですね。資料は今春のものも入っています」
  「術後五年が経過しましたが、今まで順調だったので、今後は三カ月ごとの
検査にしましょう」と外科医に告げられたのは昨年の夏。「内科的に考えた場
合、三カ月は長いです。岡山に来られた時は私が診ますが、他は地元の内科医
に診てもらって下さい」と糖尿病内科の医師に告げられた。そこで府中市の内
科に勤務する元同僚Yさんに相談し、糖尿病専門医であるW先生に診てもらお
うと決めた。
      
  いったん紹介状を書いてもらったが、「他の先生に紹介する前に、あなたの
ことをもっと調べておきたい。入院して検査をしましょう」と提案された。そ
こで十月下旬二泊三日で入院し、二十四時間連続して血糖値を測ることのでき
る装置を装着して検査を行った。
  外科の先生が急きょ出張されたため、医師なりたてという感じがする若い先
生に診てもらったことがあった。「前回よりマーカーの数値が上がっていま
す。念のため、一カ月後に来院し、主治医に診てもらって下さい」と言われ
る。この程度の上昇なら今までもあったし、特別視するほどのことはないと思
ったが、「分かりました」そのあと診察した内科医は「一カ月後の来院です
か。じゃあ次回も私が診ましょう」
  「うーん、数値がよくなったときに他の医師に紹介したいのですがね。今回
少し悪くなっています」「じゃあ、外科を受診するあいだにもう一回岡山に来
ましょう」こんな会話をしたこともあった。
  ついに外科受診は半年後となりましたか。分かりました。この機会に紹介状
を渡しますので、一カ月後には府中市の内科を受診して下さい」「半年後にま
たお会いすると思いますが、今までありがとうございました」こんな会話をし
たのは今年五月二十五日。
医療センターの医師、相談に乗ってくれたYさんの立場もあるだろうし、今
回はよい数値で会ってほしいと思いながら血液検査の結果を待つ。血糖値と空
腹感は必ずしも一致しないので、努力がどこまで報われるかという不安はある
のだが。
  「胃がないにしては、よくコントロールされていますね。この程度ならいい
でしょう」医師の言葉にほっとする。数値だが、食後血糖値117.HBA1
C国際標準で7・0、国内だと6・6。HBA1Cが思っていたよりやや高い
がまずまず。私の数値としては平均的なもの。医療センターの医師は6・1~
2あたりを求めておられたのできつかった。
 
「手帳は持っていますか」「いえ、持っていません」「じゃあ出しまし
ょう」胃の手術以来、ずっと糖尿病の検査を受けていたが、「糖尿病連携手
帳」は初めて。私はジョギング時、ブドウ糖もしくはジュース代120円を携
帯しているが、手帳も併せて外出時には携帯したほうがよいように記してあ
る。
  「この程度の数値だと、どのくらいの間隔で受診するのがよいですか」「内
科的に考えると一カ月に一回がよいでしょう」「わかりました」
  今までは一月半ごとに受診というのが多かったので、受診後一週間くらいは
甘いものを食べたり、お酒を飲んだりしてリラックスし、ラスト一カ月は禁欲
生活で帳尻合わせをするような生活をしてきた。一カ月間隔だと常時緊張感を
持って生活する必要がありそうだ。一見几帳面そうで実はずぼらという私には
向いているのかもしれない。
  先日、保健課の栄養士に事情を話し、今後の栄養指導をしていただくように
お願いしておいた。府中市に置ける体制はほぼ整った。後は本人の心掛け次第
であろう。
              (六月二十八日記)