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postheadericon 2012年3月第4回心の健康セミナー

2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

第4回心の健康セミナー
生老病死と森田療法
  
3月25日(日)  岡山国際交流センター 8Fイベントホール
                     体験発表のためのメモ  皿海英幸 作
自己紹介 
皿海英幸 58歳 広島県府中市に在住
     職業 「社会福祉法人すばる」精神障害者の就労支援施設で職業指導員として勤務
     趣味 ジョギング エッセイ
病名  スキルス胃がん
治療経過
2005年12月府中市内の病院で胃がんの告知を受ける。 
2006年1月末、岡山大学付属病院にて腹腔鏡による検査「腹膜播種しているので、胃の全摘手術より、抗がん剤治療を優先させよう」と告げられる。2月より抗がん剤治療。2月中旬退院し、地元の病院で抗がん剤治療に。
抗がん剤が効かなかったら4月に亡くなっていても不思議ではない状態でした」と後で主治医に聞かされる。
休職中だし、抗がん剤の副作用はほとんどなかったので、この間を利用し、自分で何かできることはないかと情報収集する。伊丹医師の講演を聞く機会に出会い、「生きがい療法」に関心を持つ。5つの指針の1では。
8月28日、開腹による胃・胆のう・脾臓の全摘手術を行う。
9月2日、食事開始。昼前から腹痛、午後吐き気が徐々にひどくなる。開腹手術による腸閉そくを起こしていた。
9月9日、腸閉そくを直す手術。「もしかしたら土壇場で底力を発揮するタイプでは」と自覚する。
10月5日退院。「手術は成功したが、5年生存率は10%余。元気になったという前例はほとんどない。お互いしっかり学習し、悔いのない治療をしよう」と告げられる。「前例がないのなら、私が前例となるような生き方をしたい」と決意する。これは5つの指針のうち、1~4に当てはまるのでは。
退院後の経過は順調。
2007年4月職場復帰
2009年12月フルマラソン完走
2011年8月28日術後5年目を無事に迎える。
2011年12月11日3回目のフルマラソン完走。
患者会等に参加すると「生きているのが不思議なくらいの状況だったのに、職場復帰し、フルマラソンも完走。すごいですね。」と言われ、注目されることがある。私としてはできるだけ市全体で生きてきたつもり。もしくは「これしかない」という生き方かな、と振り返る。
人生最大の危機、死の恐怖・誘惑
腸閉そくを起こした時、血糖値は500まで上昇。吐き気・腹痛もひどく、苦しくてたまらない。医師に「睡眠薬で眠らせてください」と訴えるが、「薬で眠ると逆流した腸液を五円し、肺炎を起こす可能性があるのでできません。今は様子を見るとき」と告げられる。しばらく我慢したが、一向よくなる気配が感じられない。もう限界だ。「いっそ点滴の管を引きちぎり、4階の病室から飛び降りたら楽になるかもしれない」と考える。窓を見るとその前に妻が。そして夕方交代するまでは娘がそこに座っていた。吐き気を催すたびに懲役と唾液が混ざったものをトレーに吐き出し、口をゆすぐ。何回となく繰り返す。その都度黙ってトレーを洗い、カップで水を注いでくれた彼女たち。娘は血液の難病、妻はCがたかんえん・・。だけど私のため、必死で付き添ってくれている。私は悪いことを考えてしまった。家族のためにも生きなければと思いなおした。具体的には「昼から今まで耐えたのだから、もう1時間なら」「応援Tシャツの言葉を読んでいるうちは」「好きな深夜放送の時間までは」「根拠はないが、朝まで耐えれば楽になるような気がする」等達成可能な目標を小刻みに立て、それをクリアーすることにより死の恐怖・誘惑を乗り越えた。5つの指針のうち、2,4に当たるのでは。

生きがい療法を生かした生活、これからの人生
自分の体験、また生きがい療法で学んだことを生かした生き方をしたいと思っている。
・職場で精神障害者の支援 ・長期目標、短期目標の立て方。・将来に対する不安への対処法等。指針の1,2,4
・府中地域がん患者交流会の活動 指針の3
・リレーフォーライフ(がん患者の支援・交流、理解を求める活動)イン広島の実行委員を務める。指針の3
最近読んだ本より
「それでも人生にイエスという」 V・E・フランクル著より
「私たちは、生きる意味を問うてはならないのです。人生こそが問いを出し、私たちに問いを定義しているからです。私たちは問われている存在なのです」
「困難に対してどのような態度を取るかということのうちに、その人本来のものが現れ、また、意味のある人生が実現されるのです」
この文章を読み、生きがい療法に通じるものを感じた。つまり、どのような困難な状況に置かれても、自分の人生の主役は自分自身。どう考え、どう行動するかが大切。指針の1,4
私の体験から皆様に伝えたいこと
・絶対にあきらめない! 前例がなければ自分が前例となるような生き方をすればいい。「諦めるより明らめる」
・苦しい時こそユーモアを忘れない。「ユーモアとは、~にもかかわらず笑うこと」

生きがい療法5つの指針
①自分が自分の主治医のつもりで、病気や人生の困難に対処する。
 *森田療法原理「自分の努力で問題解決に取り組む生き方」
②今日一日の生きる目標に取り組む。
 *「目的本位、物事本位の生き方」
③人のためになることをする。
 *「自分の能力を発揮して、周囲の人や社会の役に立つ生き方」
④不安・死の恐怖はそのままに、今できる最善を尽くす。
  *「生きている限り不安・死の恐怖があるのは当然なので、それはそのままにして、今必要な行動に取り
    くむ生き方」
 ⑤死を自然現象として理解し、今できる建設的準備をしておく。
  *「死を事実として認め・物事本位の対処をしていく生き方」