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postheadericon 2011年11月珍しい検査ですよね

2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

   珍しい検査ですよね      皿海英幸
 「父さん、車で送ってあげるよ」と妻。「私も行くよ」と娘。「じゃあ、家族で岡山へドライブだ。あそこの食堂は安くて種類も多いからおいしいものを食べてね」と私。
 十月二十九日八時四十分、自宅を出発。目指すは岡山医療センター。二泊三日で糖尿病の検査を受ける。予定通り十時着。九階の病室へ。
 早速ベッドに横になると二十四時間連続して血糖値が図れる機器の装着作業開始。まずは腹部皮下にセンサーのついた針をさす。「体脂肪が少ないですね」 そうなのです。私の体脂肪率は一けた。「プロスポーツ選手並みですね」と言われている。
 主治医は針からのコードでつないだ持続モニター(煙草の箱くらいの大きさ)を若い医師に説明しながらセット。その際、説明書で確認しながら。この機器はまだ一般的ではないのかな。
 「電流を流し、数値が五十前後で安定すれば成功。ほかの数値だと針を刺しなおします」と主治医。刺しなおすのはちょっとどうかと思ったがほどなく「安定しました。これから計ります」と言われ、パジャマのズボン、腰のあたりに装着する。これで持続的に血糖値の測定ができる。ただし食前・食後は指パッチンし、従来の手法で測定し、機器に入力する。
 昼食後、看護師が測定。思ったより高い値。「いつもの土曜日だとジョギングしているのですよ」つい、愚痴を言いたくなる。「遠慮しないで病院内、どこでも歩いて下さい」「分かりました。歩きます」でも他の階も含め歩いても、建物の中なのでたかが知れている。「そうだ、階段昇降だと運動量が多いはず」と思ったが、この病院は十一階建て。階段は非常階段のみで、エレベーターによる移動。「どうしよう、じゃあウォーキングとスクワットを組み合わせよう」うっすら汗がにじむくらい体を動かす。
 休憩中は読書。院内でテレビは見ない主義。今回持参した本、○六枚のとんかつ 蘇部建一 ○野村イズムは永遠なり 野村克也 ○自傷行為の理解と援助 松本俊彦 の三冊。気分転換に読む本、じっくり読んで学習する本、バランスが取れている。ニュースと天気予報はラジオでチェック。
 食事は糖尿病食。主食のごはんはやや少なめ、その分副食が多く、うす味。だけど醤油あるいはドレッシングの小袋が添えてあるので、それを使用すれば濃い味も可能。患者の自己管理が試されているのかな。
 ところで、敷地内に看護学校がある関係か、担当看護師は若い女性が多い。食前・食後、若い女性が手を取って血糖値を測り、ひざまずいて機器に入力する姿は申し訳ないようでもあり、ちょっぴり小気味よさも感じる。女性コンプレックスがなせる技かな。
 三日目、月曜日の看護師は今までとちょっと違ったタイプ。方言丸出しで最初からため口。気が合えばとても親しみを感じるだろうが、会わなければ「なんだ、この野郎」となりそう。ただ、なぜか彼女のペースにはまりそうな予感がする私。
 「今日はブドウ糖を使って検査をします。飲んでください」と主治医。「甘くて飲めるものではない」という人がいるが、炭酸で割ってあるので覚悟していた割には飲みやすい。「急いで飲まなくてもいいですからね」と若い医師。胃を全摘の私にとり、炭酸は一口ずつでないと飲めない。
 血糖値が急上昇するので、お酒を飲んで酔っ払う直前のように体がだるく、ボーとした感じ。
 昼前すべての検査終了。朝食抜きの私に出された食事はクロワッサン二個と紅茶。「ブドウ糖を飲んでいるので多くは食べられないでしょう」という配慮だが、ちょっと待った。「バランス良い食事を」といいながら、これでは糖分ばかり。少量でもいいから魚と野菜を出してほしかった。せめてゆで卵を。
 午後、主治医の指示で「糖尿病教室」へ。若い医師がはきはきした口調で説明。「では糖尿病とは、一口でいえばどんな病気でしょう」誰も手を上げない。目があって、私が指名される。「血糖値が高いままほっておくと血管がもろくなる病気です」「正解です」そして合併症の説明があった。
 その後場所を移し、看護師による足の手入れ・入浴法の説明あり。
 十五時、今回の検査結果・今後の治療法についての説明あり。パソコンで四八時間持続的な血糖値を示しての説明は説得力があり、素直に納得。治療意欲が高まる。職場・家庭に迷惑をかけたが、有意義な検査入院だった。
 なお、私のヘモグロビンA1Cは6・4.深刻な状態ではありません。岡山医療センターから府中市の内科へ帰る準備としての検査でした。