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postheadericon 2011年11月今を大切に

2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

   今を大切に       皿海英幸
 文芸春秋スペシャル「がんを生きる」の中で、K医師は次のように記している。「抗ガン剤の本質は細胞毒なので、腫瘍は小さくなった、寿命も縮んだ、となりかねない。あなたの寿命も、はたして抗がん剤で延びているのかどうか不明です。(中略)無数に近い臨床試験では、腫瘤の縮小が認められても、延命効果は認められていないのです」
 抗がん剤はがん細胞だけでなく、正常細胞にもダメージを与える、そのため副作用が強いというのは多くの人が認めるところ。そういう意味では、延命効果があるかどうかは簡単に結論付けるのは難しい。多数の臨床試験と同じく、長年にわたる追跡調査が必要だろう。K医師の考え方は一理あるように思う。
 術後五年間を順調に過ごすことができた私だが、慢心することなく、精一杯今を大切に生きてゆきたい。がんは、過去の生き方を見直す機会を与えてくれたのだから。

   明るいきざし
 年に一回広大病院眼科で眼の検査を受けている。間隔が長いので受診のたびに違った先生に診察してもらうことになる。今回は十月二十一日に受診した。
 「昨年と同じ状態ですね。よろしいですよ。ところで最近変わった点、ありますか?」医師が訊ねた。「はい、来春免許証更新があるのですが、更新できるか心配しています」「見えている方の目、右目ですが裸眼で0・8ですのでこのままだと更新できるでしょう。レンズを使うと1・5です。心配ならメガネを準備しておけばいいでしょう」「メガネは老眼用ですか」「いえ、遠くを見るメガネ、運転の際に使用する。そういえばメガネ屋さんはわかるでしょう」「ありがとうございました」
        
 消費税値上げの話がある。年金も支給年齢を引き上げる話がある。少しばかり貯金があるとはいえ、老後が不安になってきた。それだけに六十歳になってもできれば働きたい。そのためには運転免許証は必要。更新でき、もう五年働くことができれば六十三歳。そこまでは何とかなりそうな兆しが見えてきた。早朝の高速バスで来た甲斐があったというものだ。

  行ってきます
 琵琶湖でジョグを楽しむ旅に続き、十月末に二泊三日で部屋を予約した。行先は岡山医療センター9階。見晴らしはいいだろう。
 初夏のころだったか、「府中市から岡山市は遠いでしょう。外科は順調なら三カ月ごと、あるいは半年ごとと受診間隔を伸ばすことが可能ですが、内科はそんなに延ばせません。府中市に糖尿病に詳しい病院があればそこを受診するよう替ってもいいですよ」と言われた。
 そこで内科に勤務しているYさんに相談。彼女が情報収集し検討した結果、「W内科がいいと思いますがどうですか」と提案した。
 医師からは「紹介するとなれば、あなたの症状をしっかり調べておきたい。二十四時間血糖値が連続して調べられる機械を装着して検査しませんか。それをすれば膵臓がどういう状態か、これからどういう治療が有効かはっきりします。ただし、入院しての検査となります」と提案された。
 職場で利用者Oさんが私に言った言葉を思い出した。「胃がんに勝ち、肺炎に勝ち、あなたはとても強い人」強い人とは思わないが、胃がん、肺炎を克服できたのだから、ここは糖尿病にも真剣に取り組む証しとして入院を考えよう。もっともヘモグロビンA1C、今回の検査では6,1.さほど深刻な状態とは思わない。今ならまだ間に合う。
 久しぶりの岡山宿泊。楽しんでこよう。そして帰りは岡山か倉敷でジョグして帰ろう。