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postheadericon 2011年8月息子と父の会話

2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

   息子と父の会話
 「父さんは本当にスキルス胃がんだったの?」久しぶりに帰省した息子が尋ねる。
「そうだよ。何か?」
「友達の父がスキルス胃がんなのだ。それで医師に『胃の内にがんがとどまっていれば助かるけれど、胃の壁を突き破っていたら死を覚悟して』と言われたのだって。父さんの場合、本当に胃の壁を突き破っていたのかな。証拠は?」
「突き破っていたよ。腹水がたまっていて、腹水の中にがん細胞がたくさんいたのだよ」
    
「それでよく助かったな、すごいな」
私は手術だけでなく、抗がん剤治療も行った。主治医や抗がん剤との相性が良かった。そして「生きている」と同時に「生かされている」と感じる今日この頃である。

   扇風機
今年の梅雨明けは例年に比べ随分早かった。そして暑い日が続いている。だけど、巷では電力不足の話題で持ちきりであり、家庭でエアコンを使うのは若干後ろめたさを感じる人がいる。
そのせいか、扇風機がよく売れるという。私は先日電気屋さんに行ったが、卓上で使う小さなもの以外は売り切れていた。もしやと思い、ホームセンターに行くとたくさんの扇風機が積み上げられていた。これはどういうことかな。
それはともかく、一台購入し、持ち帰る。帰宅すると早速組み立てに取り掛かる。説明書を読まなくてもいいくらい部品数が少ない。技術の進歩かな。
組み立てができたので、早速コンセントをつなぎ、スイッチを入れる。「うん?」羽は勢いよく回っているのだが、風があまり来ないので涼しくない。その割には音が大きい。
    
「もしかしたら」羽を逆方向に差し込み、ねじを締める。「やっぱりそうか」今度は風が来るのが実感できて涼しい。でもね、メーカーさん、私のそそっかしさは認めましょう。だけど、羽をどちらでも差し込めるように製造するのはどうでしょう。正しい方向にのみ差し込むことができるというように製造しておけばメーカーも消費者もどちらもいい気持ちで過ごせると思うのですが。無理なお願いでしょうか。

  修復
「お待たせしました、わかばの皿海です」電話を取ると利用者だ。
「私、もうだめかも、心が壊れそう」
「壊れそうと思うほど辛いことがあったのだね。でもこれが最初じゃあない。今までも修復しながら生きてきた。今回もできるのでは」
「あなたは心が強いからそんなことを言える。がんに勝った。肺炎に勝った。そんな小柄でガリガリなのになんで心が強いの」
「ちょっと言い過ぎでしょう。私だって太りたいけど、胃がないからたくさん食べられないし、血糖値が気になるし。それに素肌は妻にしか見せていないはずですよ」
「分かったけど、無理していないの?がんばりすぎよ」
「できるだけ自然体で生きるようにします。でも、人のことを心配する優しいあなた、やっぱり壊れていないよ。修復しながら生きることを考えましょう」
 (プライバシーに配慮し、会話の内容を少し変えています。)