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postheadericon 2011年5月ユーモア小話をつくりたい

2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

   ユーモア小話をつくりたい   皿海英幸
 「夜と霧」の著者フランクル氏はアウシュビッツに収容された体験があるが、希望を失わないため、ユーモア小話をつくり続けたという。肺炎治療のため、二~三週間の予定で入院となった私も免疫力アップのため、小話をつくりたい。でも、アウシュビッツと入院じゃあ深刻さが全く違う。たとえとして適切かな。
 「八日目の蝉(角田光代)」「日本の悪霊(高橋和己)」「人間の条件(五味川純平)」入院に際し、持参した本だ。少しでもアウシュビッツに近づこうというわけではないが、読んでいて深刻になる本ばかり。
 もっと単純・明快に笑える本を持参しておけばよかった。そのほうが免疫力向上だろうが、突然の入院でいたしかたない。せいぜい小話作りに励みながら治療しよう。
       
    なんで今なの
 入院の日の早朝、コンビニでY新聞を購入。「皿海さん紹介の記事、明日載せます」昨夜記者から連絡があった。
 三月中旬、リ・フレで取材を受けた。四年半前、スキルス胃がんで胃・胆のう・脾臓を全摘したが、経過は順調。フルマラソン完走二回。府中地域がん患者会活動・リレーフォーライフイン尾道のこと等を話した。
 東日本大震災の影響で載せるのが延び延びになっていたのだが、何故よりによって入院の日なの?いかにも間が悪い。周りの反応が確認できないとかじゃあなく、記事の内容と現実に落差がありすぎる。それに入院先のスタッフが読まれたら、ベッドの上で点滴を受けながらどう反応しよう。でも今更考えてもしょうがないか。まな板の上のコイ。ベッドの上の皿海。あるがまま、なすがまま かな。

   持参品
 入室し、パジャマに着替える。「スリッパはこれをはいて」妻がカバンから出す。夏用で履き心地よさそう。でも模様は明らかに猫。私が猫は何であれ大・大嫌いであることを知っているのになぜ。ケンカを売る気なの。しかもパジャマはミッキー。取り合わせが悪い。
 でも用意してくれた妻に従うしかない。「早く退院しよう」と思わせるためかな。
 日曜日の朝食にジャムの小袋付き食パン・カップ入りヨーグルトが出た。休日はあまり手のかからない食事をということかもしれない。
 スプーンを取りだし食べようとするが、持参したのは大きいのだけ。「大は小を兼ねる」というが、相手は病院食。大だとすぐ食べ終える。小さなスプーンで少しずつ食べたい。
 妻に連絡すると「ゴメン、カレーが出るのかと思った。明日は小を持っていくから」そう言えば「酔いがさめたら家に帰ろう(鴨志田穣)」に出てくる病院、毎週火曜はカレーの日だったな。

   暇つぶし
 入院した病院の窓からスーパーの駐車場がよく見える。退屈しのぎに駐車場を見る。車から降りてくる人をチェックする。しばらくし、スーパーの出入り口から出る人を見つめる。「あの人はあの車だったはず」心の中でつぶやきながら目で追う。
 「やっぱり」「ちょっと違ったな」トランプ遊び「神経衰弱」みたいで多少は暇つぶしになる。
 「えっ!」半袖シャツにミニスカートの女性を見かける。私は長袖のラガーシャツにジャージの長ズボンで入院。季節が変わったのかな。そんなに長いこと入院したかな。
 早く退院し、太陽の光を浴びつつ紫外線を気にしながら歩いてみたい。そして、スーパーに来た時には病院のほうを向き、手を振ってみようかな。