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postheadericon 2011年2月バレンタインラブソンにて

2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

   バレンタインラブソンにて    皿海英幸
 「皿海さんの生き方・考え方を支持します。宮崎だけでなく、神戸にも走りに来てください。『バレンタインラブソン』という楽しい大会があります」と誘われたのは社会保険神戸看護学校・生きがい療法実践会の合同学習会の席。昨年夏だったろうか。以来、彼女たちの期待にこたえたい、一度は走りに行きたいと思っていた。
 年末に「よし、参加しよう!」と思い、インターネットで調べる。「えっ!」参加賞だが、女性はチョコで男性は蘭の花「なんで、反対じゃあないの」読み返してみるが、間違いない。もしかして「女性は大会参加者の中から自分にふさわしい男性を選び、チョコをプレゼントしなさい。男性はお返しに花を」ということか。だけど、参加者の男女のバランスは取れているのだろうか。
 最近は肉食系女子に、草食系男子が増えている。愛の告白、どちらがチョコで、どちらが花ということにこだわらないのかもしれない。もっとも私にとり、冒頭の看護学生たちの言葉が、チョコのプレゼントのように思える。
 二月十三日、福山駅を雪のため五分遅れの新幹線で出発。新神戸から三宮、そして会場ポートアイ(愛)ランドへ到着。ほぼ予定通り。すでに市民広場は多くの参加者でごった返している。大会テーマ「戦争、災害、貧困に苦しむ子どもたちに会いの手を」で、参加料の一部をユニセフに寄付する大会。参加者が多いのはよいこと。
 この大会の特徴だが、女性の参加者が多いこと。十キロの部だと男性千二百余に対し、女性九百余、かなりの数だ。そして仮装ランナーが多いこと。また参加者数に対し、コースの道幅が狭いこと。ほとんどが片側一車線。途中、公園の遊歩道あるいは横断陸橋を走るというコースでもある。
 こういう場合、スタート直後は流れに沿って走ることが大切。前に出ようと右往左往知れば消耗する。それより復興なった神戸の景色を楽しみながら、もしかしたら看護学生に会えるかもと思いながら走ろう。でも今日は「スキルス胃がんに負けないぞ」と記したシールをTシャツに張るのを忘れてきちゃった。わかるかな。
 そうこうしているうち、次々と女性ランナーに抜かされていく。均整のとれたスタイルでさっそうと走っている人なら構わないが、ぎこちないフォームの人だと心穏やかとはいかない。
 手術以来、順位やタイムにこだわっていては走られない。ならば私も仮装ランナーとして楽しく走る道を歩み始めようか。でもやっぱり、遅くてもがむしゃらに、ひたむきに、精一杯走るのが私らしいのかなという気持ちもある。
 昨日の雪交じりの天気、そして今日の予報を思うと全く別世界のようなマラソン日和。「何を着て走ろうか」と様々な組み合わせを考え、思案した昨日がうそのよう。職場で清掃作業をともにするYさんと雑談中「十三日、マラソン大会です。思い出したら気持ちだけでいい、応援してください」と告げていた。きっと家族、そしてYさんが応援してくれるから天気もいいし、気持ちよく走ることができると思うことにしよう。感謝。帰りのかばん、若干の余裕があるからお土産買って帰ろうかな。
        
 海岸に出ると対岸にポートタワーが見える。「ポートアイランド」「ポートタワー」似たような名前なので会場近くにあると思い、帰りの高速バスは「ポートタワーで乗車」と予約した。後で地図を見ると「三宮バスターミナル」のほうが近いと知り、予約しなおした。そんなことからタワーに愛着を感じながら走る。
 八キロ地点あたり、給水所とトイレが同じ場所にある。後二キロなら大丈夫だが、清掃担当者として真新しい公園のトイレ状況を知りたくてかけ込み、おしっこ。きれいに清掃をしてあるが、障害者が利用する鉄パイプは少しさびている。便器は古いものなのかもしれない。
 ゴール付近は人だかりがあり、応援がにぎやか。今更ながら無駄な抵抗のラストスパート。ランナーの本能か。気持ちよくゴール。あまり疲労感はない。
 ゴール後、引換券と交換で蘭の花をいただく。花言葉は「変わりやすい愛」だ。妻には渡したくない。職場に持参しようかな。