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postheadericon 信じていいですよね(2018年03月28日)

2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

    信じていいですよね(2018年03月28日)  皿海 英幸

 「えっ!しまった。どうしよう」福山マラソン当日の朝(三月十八日)ケータイのバッテリー、全く充電されていない。エネルギー切れの状態。充電器は家族で一つ使っているが、妻がアパートに持って帰っており、この家にはない。

 いつもマラソン大会に際して応援メールをくれるSさんからは昨夜メールが届いている。でも、当日スタート前に改めて応援メールをくれることあり。それを読んで走ると好調なのだが。

 そんな彼女だから、走り終わったらすぐに「楽しんで完走しました。応援ありがとう」とメールを送っているのだが。

 いろいろ思案してもしょうがない。ないものはない、今日はケータイを家において出かけよう。でも、福山マラソンがこの冬最後のマラソン。これを走り終えると今度は五月下旬まで大会出場の予定はないのだが。

 予定通りの時間に会場の竹ヶ端陸上競技場に到着。今日の補食はおにぎり。セブンイレブンで百円セールだったので購入した。ちょっぴり得した気分。ゆっくり味わう。

 腹ごしらえをしたので着替える。今日は術後十周年記念の寄せ書き入りTシャツ。たびたび着用すると色落ちするかとも思うが、四月の通院で何も異常がなければいよいよがんの検査ということで通院する必要はなくなる。その結果を受け「スキルス胃がんを乗り越えて」と中央に記した寄せ書きTシャツを新たに作ろうかと思うので少々の色落ちは気にしなくてよい。むしろ、いい結果になるよう、気合を入れてジョグを楽しみたい。

 さて、十一時を過ぎたので、集合場所へ。十キロの部スタートは十一時二十五分。定刻にスタートし、順調な滑り出しのはずだったが。「ドン」後ろから肩を小突かれた感じ。「あっ!ごめんなさい」蛍光色のTシャツを着た若い女性が無理な追い抜きをして私にぶつかる。まだ集団がバラケていないのに追い抜きだなんて初心者だな。集団がバラケ始めるまでは集団の流れに沿って走るのが基本ですよ。ここはむきにならず平常心を保つことが大切。

 芦田川に架かる橋を渡ったあたりで集団がバラケ始める。「よし、ここからはマイペース」と思うのだが、身体が少し重い感じ。家庭や職場でいろいろあり、計画的に練習できていない影響か、「まあ、前半飛ばしすぎない方が後半気持ちよく走ることができる。

 このコースは一キロごとに距離表示がある。六キロあたりを過ぎると調子よく感じ始める。マイペースで走ることが大切とはいえ、同じ色のゼッケン(六十歳以上男子)を見つけるとつい追いつき追い抜こうとする。「皿海さん、競り合っていれば追い抜きますよね」と以前声をかけたSさんに、「胃がないのだから競争せず、マイペースが大切」と応えておいてごめんなさい。完走のめどが立ったらついというか、やはりというか、同じ部の人は意識して競争しようとしてしまう。

 「あれ」七キロ過ぎで私にぶつかった蛍光色着用の若い女性がいる。軽く追い抜き引き離す。今このあたりを走っているのならスタートダッシュで無理する必要もないだろう。体力を消耗するだけだぞ。

 競技場に帰る。トラックを気持ちよく走り、ゴール。靴ひもに結わえているレース用チップを取り外そうとするが、疲れて指先が少し鈍い動きでもどかしい。給水所で水を一杯ゆっくりと飲み干す。完走証交付所へ行きゼッケンナンバーを入力してもらうとすぐにプリンターから出てくる。

 「えっ!」福山にしても神戸にしても最近のロードレース十キロの部は計ったように五十二分の後半タイムだったが、何と五十分五十秒と記してある。六十代にして二分もタイムを縮めることが可能なのか。スピード練習はせず、ただ気ままに楽しんで走っているだけなのに。信じていいのですね、このタイム。

 「残念」せっかく好記録が出たというのに、ケータイが使えないので家族や応援メールをくれた人に連絡できない。まあいいか、直接会って伝えれば、相手の表情を楽しむことができる。

 よし、次は五月のハーフマラソン、頑張るぞ。