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postheadericon ごりごりの丘でマラソン大会(2017年9月30日)

2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

   ごりごりの丘でマラソン大会(2017年9月30日)   皿海 英幸

 「んっ!シートベルトはどこだ」ふりかえって気づく。「あっそうだ、今日は新幹線だ」いつもなら京都へは高速バスで行くが、マラソン大会の時は、受付時間の関係で新幹線にしている。5時31分発の福塩線で高木を出発し、今福山駅で新幹線に乗り換えた。

 「無事、京都駅につきました。暑くなりそうだけど、障がい者と共に気持ちよく完走したいと思います」奈良線の待ち時間を利用し、知り合いのSさんにメール。「無事につき何より。楽しんで完走してください。私も応援に行きます」Sさんと応援メールの交換。Sさんは今日旦那様が府中市で開催のリレーマラソン出場。旦那様の応援に行くのでお互い応援メールの交換にしようと約束していた。

 長池駅につくと「この車に乗って行かれませんか」本日参加の大会は「障がい者も健常者もともに走ろう 京都てんとう虫マラソン」障がい者の参加があるので大会本部の車で送迎をするのは理解できる。「私、健常者ですがよろしいですか?」「席が空いているから大丈夫です」前の席に座ると後部にはストレッチャーに乗ったままの障がい者。へーこの人も参加するのだ。どんな形での参加かな。

 会場木津川運動公園へは受付開始時間より早く到着する。胃を全摘している私は恒例だが、待ち時間を利用してゆっくり食事。「えっ!」妻が買ってくれたおはぎ、四つ入っているとばかり思っていたが、二つだけ。うーん、足りるかどうかギリギリ。もし食料が足らなくてエネルギー切れになったらどうしよう。「あっそうだ」この大会の参加賞袋の中にはパンやバナナが入っているとはず。助かった。

 「大会Tシャツを百枚限定で販売しています。売り上げの一部は障がい者施設に寄付をします。この機会にお求めください」とアナウンス。早速購入。「日本人は限定品に弱い」という人もいるが、私は大会の趣旨に賛同しているから。Tシャツを着てジョグすることで多くの人に「てんとう虫マラソン」を知ってもらいたい。話題にしてほしい。ただ、欲を言えばてんとう虫の図柄がもう少し大きかったらなお良いと思う。

 開会式は順調に行われ、いよいよ競技開始。まずは二周(2.5キロ)コース。子どもが多いが、車いすや視覚障がい者・知的障がい者も参加。それを見ながら着替えをする私。今日は真っ赤なランパン・ランシャツ・ソックス・そして広島カープの帽子。吉本新喜劇なら「コーディネイトや」

 いよいよ私が出場する八周(10キロ)コース。スタートラインに整列するが、今回は緊張感がない。いつもなら冬場のフルマラソンの前哨戦と思って参加するが、今年は夏の初めに父が亡くなりあわただしかったため、冬場の大会の申し込みをしていない。ただ今日の大会を楽しむだけ。

 軽やかにスタート。まずは集団がばらけるまでは流れに身を任し、ほどけたらマイペースで走る。適当に起伏があるコースでクロスカントリーを楽しんでいる気分。

 あれ、長池駅で出会ったストレッチャーの方、ストレッチャーに「こまめな水分補給を」と記したプラカードを付け、給水所の手前を移動されている。なるほど、この大会は皆さんそれぞれ役割なり楽しみ方があるのだ。

 長距離ランナーに似合わず飽きっぽいのか私は周回コースをあまり好まないが、この大会は別。ボランティアの方、付き添いで来られている方が誰かれなく応援してくださる。本部の前を通過するときはマイクでゼッケンナンバーを告げてくださる。「七一四番広島からの参加です。頑張ってください」という調子で。

 いつもならタイガースのTシャツ着用のランナーを見ると広島県民としての血が騒ぐが、今年はすでにカープの優勝が決定しているので落ち着いて対応する。むしろ阪神ファンの方、「関西へきてカープの帽子に赤いTシャツ、どういうつもりだ」と思われるかな。ま、今日は大会趣意書にあるように「この大会を通して、障がいのある人とない人が出合い、それぞれの立場や環境を理解し、交流を深める場を作りたいと考えます」の精神で楽しみましょう。

 「あっ、しまった」暑いので、給水所で水分補給をしていたら、腕の輪ゴムを外すのを忘れたぞ。この大会は腕に七個の輪ゴムをはめておき、一周ごとに輪ゴムを回収箱に投げ入れ、すべてなくなったらもう一周してゴールするという約束。給水所と回収箱が近かったからと言い訳せず、次の周で二個捨てよう。

 次の周、給水所が見えたので輪ゴム二個を外す。よし回収箱だ、投げ入れろ。「えっ!」回収箱ではあるが、こちらは水を飲んだ後の紙コップ回収箱。ボランティアの皆さん、間違えてごめんなさい。ラスト一周になったので、帽子を脱ぎ捨て、ギアを上げる。これはシドニー五輪の際、高橋尚子さんが勝負所でサングラスを捨ててスパートしたのにあやかっている。マイペースを心がけるとはいえ、やはり混戦していると、ラストスパートをして一人でも抜き、倒れこむようにゴールしたいというのはランナーの本性か。

 気持ち良くゴール。タイムは大時計を見ると53分27秒。練習量、気温を加味するとこんなもんだろうと思える。楽しみにしていた陶器の完走メダルをいただく。これは「志津川福祉の園」の手作り作品だ。

 服を着替えると体験コーナーへ行き、「車いす体験」にチャレンジ。まず車いすの操作の説明をされ、いよいよ体験。スロープあり、クランクありだが、ここは当たり前のように通過。「うまいですね」と係の人。ありがとうございます。自慢のつもりではないが、宝ヶ池で大会を開催されていたとき、「車いすの部」に出場したことがあるのですよ。あのコースは舗装されておらず、砂利道のようなところがあって苦労しました。

 さて、コースの最後あたりに板に角材を打ち込み段差を作った障害物あり。1センチ、3センチ、5センチ。1や3センチは簡単にクリアするが、5センチは難しい。軽く振りを付け、突き進むような感じで挑戦しないと乗り越えることができない。

 「よっしゃ!」5センチクリア。「5センチはなかなか自力で乗り越える人は少ないのですよ」と係員。コースを走り終えると「車いすチャレンジ証」をいただく。ほかにも「アイマスク体験コーナー」や「展示コーナー」もあり。そう、この大会の完走証は点字で記した貴重品。

 交流の広場ではブラスバンド演奏が始まった。その後はみんなで歌おう手話合唱 和太鼓演奏と楽しい企画がある。残念ではあるがそろそろこの会場を後にし、長池駅を目指そう。帰りは宇治駅で途中下車し、孫Yちゃんに会う予定。できれば余裕をもって長い時間Yちゃんに会いたい。マラソンももちろん楽しいが、広島県から京都府へはなかなか来られない。孫に会って帰るのはとても大事であり、楽しみなこと。今日はとても充実した日になりそうである。


 ところで「ごりごりの丘」という名前だが、この運動公園のある場所は京都から五里、奈良からも五里なので「ごりごりの丘」という。

 シンボルマークてんとう虫の五つの点は点字で「て」を表している。障がいのある人と健常者が共に手をつなぐことを意味し「てんとう虫マラソン」と名付けられた。