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postheadericon 市民病院にて(2017年7月9日)

2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

   

    市民病院にて(2017年7月9日)     皿海 英幸

 

 私の父はほぼ一カ月前から誤嚥性肺炎で府中市民病院に入院しています。九十歳を超える年齢ですので、ひと月も入院していると色々身体に影響があるようです。

 

そこで、ほぼ毎日のように顔を出すようにしています。今日も仕事帰りに行きました。ベッドの横で本を読んでいると看護師さんがやってきました。熱や血中酸素濃度を測っていました。

 

「皿海さん、いつ頃までおられますか」

 

「はい、もう十五分くらいいようと思います」

 

「わかりました。点滴の管に触られるので拘束している手袋をその間は外しておきます」

 

「ありがとうございます」

 

毎日のように来ているが、今回の対応は初めて。意識が戻るかどうかわからないのに、拘束してまで治療をすることをどう考えたらよいのだろうと思いながら接することが多い最近の私だが、何か胸がスーとした気分。

 

手袋を外してもらった父を見ていたが、自由になったからと手を活発に動かすそぶりは見えない。むしろ、手を胸のあたりに置いたまま落ち着いている。

 

十五分経つころ看護師さんが病室に来られた。

 

「これで帰ります。よろしくお願いします」

 

「ありがとうございます」

 

とても良い気分で病室を後にすることができた。患者家族の思いがよくわかった看護師さんに会え、もやもや感や疲れが吹き飛んだ気分。良かった。