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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

     ハーフ、完走!(2017年5月30日)   皿海英幸

 「ちょっと練習不足だな」五月二十八日開催「京都チャリティファンラン」直前になり、不安がよぎった。この春父が入院し、色々心配したりばたばたしたりしたので、予定通りの練習ができなかった。フルマラソンを走っていたころは「ハーフならあまり練習しなくてもいつでも走られる」と思っていたが、歳のせいか気持ちだけでは難しい。

 よし、多くの人に応援してもらい、応援を追い風として走ろう。そこで、メール&フェイスブックに「ハーフに出場します」と載せる。「楽しんで走ってきて」「目指せ 完走」と言った返事が返ってきた。中に「遅くなってすみません。頑張ってください。私は熱でダウンしています」というのがあった。申し訳ない。「よし、頑張って走るから、貴女も頑張って早く元気になって」という思いも込めて走るぞ。

 当日九時四十分会場の京都宝ヶ池公園に到着。受付を済ませ、輪ゴム八個をもらう。これは周回道路を八周するので、一周するごとに回収箱に投げ入れるというもの。輪ゴムが無くなったらゴールだ。

 第一組九時スタートの部はすでに走っている。今までは前日京都に宿泊し、第一組で出走していたが、入院中の家族がいては私が泊りがけというわけにはいかないので、今回は二組十時三十分スタートの部に参加。まだ時間があるので、おにぎりをゆっくり食べる。

 時間が来たのでスタート地点へ移動。あれ、前列のポニーテールのお嬢さんのそばに輪ゴムが一個落ちているぞ。声をかけると「あっ、ありがとうございます」よし、遠方のマラソン大会に一人で来たけれど、会話をしたぞ。グループで参加するのも楽しいだろうが、一人で参加したときは、知らない人に声をかけるチャンスをうかがうのも楽しいものだ。

 チャリティだけに毎年寄付をしている組織の方がお礼を述べて、定刻にスタート。「おっと、気を付けなければ」宝ヶ池周回道路は舗装がしてない。一部は砂利道なので、うっかりすると小石に足を取られて転倒しそうになる。でも、以前はこの周回コースで九月に行われる「京都ボランティアマラソン」に視覚障害者の伴走ボランティアとして参加し、ともに十キロを完走したことがあるけれど、よくこの砂利道を伴走できたな。我ながら感心すると同時に懐かしく思い出される。

 そうそう、大切なことを忘れていた。今日の服装は「希望の会(スキルス胃がん患者・家族の会)」でいただいたTシャツ「もっとよく見てください」着用だ。胃のイラストが描いてある。注目すると胃の中に「この字より見つけにくいがんを」「初期では見誤れるがんを」「だけどよく見てくれれば希望につながるがん」等が記してある。これを着用して参加すれば、全国のスキルス胃がんの人に応援していただいているような気がする。

 二~三周すると一周、の距離が短く感じる。景色になれたのか、体調が良いのか。いずれにしても良い兆候。練習では我が家から日隈公園を経て、大滝の名水までジョグしたのだから十五キロまでは大丈夫。残りはメールをくださった人たち、スキルス胃がんの人たちの応援により走りきることができるだろう。

 さて、胃を記したTシャツ、インパクトがかなりあると思ったのだが、周りの人たちに特別な反応は見られない。そうか、胃の実物大の大きさで、特別大きくはない。じっとしているのを見ればインパクトがあるだろうが、走っている。動いているのを見ても何のことかわからないというケースが多いかもしれない。ただし、今回はこのTシャツを着て、多数の前に現れ行動した私のやる気、勇気を評価してもらえたらと思う。

 今回のエイドステーション、水・スポーツ飲料・バナナに加え、生八つ橋おたべが用意してあった。私に取り、おたべは今回初めて。胃のない私は途中補給することが大切だが、選択肢が広がりうれしい。同時にチャリティだけに理解し協賛してくださる企業が増えることは喜ばしい。

 万感の思いを込めてゴール。この大会の完走証は手書き。大時計を見てタイムと名前を記したメモを提出。タイムはすぐに書かれたが、名前のところで手が止まる。やっぱり。「どうお読みし、どう書けばよいのでしょうか?」「はい、お皿に海と書き、サラガイと申します」

 何はともあれ、今年も楽しく完走できた。これも応援してくださった方々と、父が入院中にもかかわらず、参加を認めてくれた家族に感謝だ。