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postheadericon 愛しの由衣ちゃん(2016年12月29日)

2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

    愛しの由衣ちゃん(2016年12月29日)   皿海英幸

 「初孫が正月休みに来るのですが、貴女のお子さん、八カ月ぐらいの時はどんなでしたか」知人に聞く。「よくハイハイしていましたよ。そろそろ人見知りを始める頃、いきなり抱いたりしたら泣くかもしれませんよ。特にメガネ、マスクだと警戒します」へえー、そうなのか、孫が帰るのはうれしいけれど、ちょっぴり不安。由衣ちゃんに嫌われたくない。一緒に遊んだり、抱っこしたりするのを楽しみにしているのだけど。

 孫が来るためにせっせと掃除をしたり、妻と一緒に必需品を買い物したり。すでに楽しんでいる。年に一度の正月前、準備は気ぜわしく、いつもなら「ほどほどでいいよ。それより一年の疲れを取ることの方が大切」と考える私だけれど、今年の年末は気合が入っている。

 十二月二十九日、待ちに待った由衣ちゃんが昼前に京都から帰省。お盆に会って以来だから四カ月余りか。相変わらず笑顔がかわいい。それに白黒がはっきりした目がなんとも愛くるしい。

 早速昼食準備。由衣ちゃんは子供用の「ハグハグチェアー」に座り私の隣。準備の間、おもちゃで遊んでいるが、わざとおもちゃをテーブルから投げるように落とす。それを拾って由衣ちゃんに渡すのが私の仕事。うれしいな。

 昼食だが、由衣ちゃんはついたばかりなので、レトルトの離乳食。先ほどの知人が「京都のお嫁さんには言わないでね。業者のレトルト食品、手作りの離乳食以上によく食べるのですよ。びっくりするくらい」と言っていたな。

 私は由衣ちゃんの食欲をチェックしながらカメラで由衣ちゃんを写す。フラッシュに一瞬まぶしそうにしながら黙々と食べる由衣ちゃん。由衣ちゃんはレトルトだけでは物足りないようで、お乳をほしがる。よし、長旅の疲れは無いようだぞ。元気で丈夫に育てよ。

 食事を終え、一休みしたら父がショートステイしている施設へ。父は「由衣ちゃんと一緒に我が家で正月を過ごす」という目標を立て、リハビリに頑張ってきた。今回は日程の都合により我が家で一緒というわけにはいかないが、一緒の時間を設けることは大切。案の定、父は大喜び。「由衣ちゃん、由衣ちゃん」と何度も呼びかけていた。施設の職員さんにも「かわいいですね」と声をかけられる。帰りのタクシー運転手さんが「みんなにかわいい、かわいいと声をかけられながら、育つことはいいですよね」由衣ちゃんなら可能だろう。

 夕食だが、私たちは娘がアルバイトをしているイタリア料理のレストラン手作りの正月用オードブル。由衣ちゃんは私たちを気にしながら自分用の離乳食。由衣ちゃんと同じものをわいわい言いながら食べられる日が早く来ればいいな。

 翌三十日、いつものように私は四時半に起床。朝食を取り、少し読書をするとジョグ。休みとはいえ、いつものペースを崩したくない。常の日隈公園までジョグして帰ると由衣ちゃんは起きてハイハイしていた。早速挨拶をする。私の手は寒風にさらされ、冷たいはずだが、そんなに嫌がるそぶりは見せない。

 由衣ちゃんと遊んでいると一年の疲れがすべて取れ、心が洗われた気分。母は「この子が福を持ってきてくれる」というが全くそんな気分。

 午後、「餅をついたので取りに来てください」と母の実家中条から電話あり。「由衣ちゃんたちはもうすぐ帰るのだから、『あとで行く』と言えばいいのに」と妻。いえいえ、先方の都合もあるだろうし、何より由衣ちゃんとの別れに直接接するのはつらい。用事にかこつけて忙しくしている方がつらくないだろう。

 由衣ちゃん、そして息子夫婦、年末の忙しい時期によく来てくれたな。今度はじいちゃんとばあちゃんとで初めての誕生日のお祝いに、お祝いとお土産持参で京都に行きたいな。今から四月の連休が待ち遠しいな。