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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

    RFL二〇一六(2016年9月24日)   皿海英幸

 「来年は私の術後十周年の記念日、ぜひ参加してください、またお会いして祝ってください」昨年のルミナリエセレモニーにてこう発言した以上、実行委として早くから参加せざるを得ないと思い、三月から実行委員会に出席する。

 五月中旬、父が「多発性骨髄腫」というがんにかかっていることがわかり、RFLを成功させたいという思いが一層強くなる。私の役割はサバイバーフラッグ作成・ルミナリエセレモニーでのスピーチ・夜間警備一時間と決定。また、府中市の記者クラブ並びに公民館へチラシ配布を行った。また、初めての試みだが、府中市民病院にもチラシを置かせていただいた。

 さて、スピーチだが、第一回広島大会以来連続して行っている。じゃあ慣れたものかと言えばそうでもない。毎回どんな内容にしようかと悩むし、出だしは緊張する。「よし、今回はできるだけシンプルなスピーチとしよう。その方が聞く人に届きやすいのではないか。そして時間が短めとすれば初めてスピーチする人の時間に余裕ができる」ただし

・RFLも私も今回十周年記念である。

・胃がないにもかかわらず、フルマラソン五回完走

・余命宣告、五年生存率を告知されても数字にとらわれず、自分らしく生きていこう。

これは外すことができない。しっかりアピールしよう。

 スピーチのためのメモができると知り合いのSさんに読んでもらう。Sさんは祖母が今年がんになり、がんへの関心があるが、私のスピーチは聞いたことがない。そんな人がどう感じるかを確認したい。「完璧です。いいと思いますよ」との返事を得て、「よし、これで行こう」気持ちが落ち着く。

 三月に実行委員会が設立され、いろいろ協議をしてきたが、天候には勝てない。台風の影響も考えられるということで、今回は尾道市栗原小学校体育館での開催となった。残念な反面、校庭にテントを張る必要がないので準備に時間をかけなくてもよく、体力温存ができた。

 さて、サバイバーフラッグのコーナーの準備、必要な用具が入った箱がどこにあるかがわからず、準備が少し遅れる。雨のため、出足が悪いことも予測できるので、できるだけ作成に早く取り組もうと思ってはいたのだが。

 準備ができると「サバイバーの方、手形をよろしくお願いします。一斉行進で使用しますので、開会式までに一枚は作成しておく必要があります」と訴える。実行委員でサバイバーの方が呼びかけに応じて協力してくださる。今回は赤色の手形が目立つ。「カープ優勝にあやかり、やはり赤よね」なるほどそういうことか。一枚目はすぐに出来上がった。

 二枚目にとりかかるがこちらはなかなか手形で埋まらない。開会式直前になると、各地の患者会が到着され、多数の方が手形を押すのだが、今回はそれほどでもない。そういえば、私のなじみで会いたい人が多数いる「県北トマーレ」にまだ会っていない。今年は不参加なのかな。術後十周年なので、会って話したい人がいるのだが。

 開会式、チーム紹介が終わり、一斉行進へ。例年通り実行委員長と共に私もサバイバーフラッグを持ち、先頭を歩く。体育館なので息を合わせないと行進が難しい箇所があるが、そこは毎年一緒なので歩調は合う。

 体育館なので、コンパクト。自分の役割をしながら、ステージの催しを見たり、ほかのブースの活動を覗いたりも可能。この辺りは室内開催の良いところ。

 「子供の事で急用ができました、チラシの件よろしくお願いします」前日だったか、府中で開催される「素敵な女性でいたいから(女性健康応援&がん検診啓発」」のチラシが我が家に届いた。RFL実行委員長に配布をお願いすると「のぞみの会のブースに置いておきましょう」と快諾された。だけど、私も府中市のイベント実行委。すべてお任せでは申し訳ないのでブース近くに来た女性に「素敵な女性優先で配っています」と言いながら手渡し。微笑みながら受け取る人、恥ずかしそうに受け取る人。皆さん拒むことはない。反応が楽しくてたくさんチラシを手渡しさせてもらった。性格悪いかな。

 いよいよルミナリエ点灯式。会場の灯りがほの暗くなるとREDの灯りによるルミナリエが幻想的というかとてもきれい。スピーチを行うメンバーは前列に集合。私は二番目だが、一番・三番目の人はメモをしっかり確認しながら緊張した面持ち。

 私はメモを作ったが、事前にチェックをすませ、この場には持参せず。今までの経験から出足がうまくいけば、あとは何とかなる。「プロではないのだから、むしろたどたどしい部分があった方が聞く人の胸に響くのでは」と勝手に言い聞かせる。

 いよいよ私の順番。よし、今日は落ち着いている。会場の人たちの表情を確認できるぞ。話し始める。順調な出足。余命宣告、五年生存率の話になると、医療関係者の方もうなずきながら聞いているのが確認できる。事前に作成したメモを一部省いて短くまとめる。
  
全員がスピーチを終了し、フラッグを先頭に一斉行進。「あなた、スキルス胃がんだったのね、大変な思いをしたのね」と私の背中をさすりながら行進する門真の女性。短くても初対面の彼女に思いが伝わったよう。でも立場が逆だったらセクハラとなるのかな。まあいいや。がん友に野暮なことは考えまい。

行進を終えると「良いスピーチでしたね、ありがとう」とこちらは医療関係者の女性。医療関係者に評価されると「感情だけでものを言っているのではない」と思うことができ、うれしくなる。

夜間警備は九時から十時。我が家では十時には床に入ることにしているが、特別な日なので頑張るぞ。「皿海さん、自分は夜間警備に入っていないので体調等、都合が悪かったらいつでも言ってください。変わりますよ」と事前に申し出たくださる人がいた。こういういたわりあるいは思いやりがあるからRFL実行委はやめられない。警備は地元の人とコンビで行ったので大過なく過ごす。

体育館に入ると「二階は暑いから、下で寝るわ。皿海さん一緒に寝ようか」声をかけるのは親しくしている乳がん患者会の女性。「ちょっと待ってくださいよ。いくら親しくしているとはいえ」結局私はステージの緞帳で隠れた隅に一人で寝ることに。体育館の床は何か柔らかいというかソフトなものを感じるが、ステージは寝袋を強いて横になっても硬い、硬い。それでもいつしかうとうと。

いつものように午前四時過ぎに目覚め。「よし、歩くぞ」RFLに来たのだからルミナリエに沿ってしっかり歩く。同時に府中市「歩いて健康づくり」に参加しているのでしっかり歩数を確保したい。

「がんさん ひいばあちゃんをあまりいじめないで。やさしいひいばあちゃんからがんさん脱出してください」「僕らはみんな生きている」私を通して申し込まれたルミナリエ袋が目についたので、写真撮影をする。協力してくださったのでこれをお土産としよう。

朝食を終え、しばらくするとグランドへ。昨日と違い雨が上がったようなので、グランドを歩く。「RFL岡崎のラジオ中継のインタビューが始まりますので集まってください」と呼びかけがあり集合する。実行委員長に続いて何人かがインタビューを受ける。私も受けたが「RFL広島のヒーローです」という紹介があってのインタビューはこそばゆい。それでも思いを言うことができた。担当者が昨日のスピーチを聞かれていたのでうまく話を引き出してもらえた。

そうそう、今回は八月末に術後十周年を迎えたということで、記念の「応援Tシャツ」を作ろうと思った。

いつもお世話になっている人にメッセージやサインをしていただく。もちろんお互い本来の業務に影響の出ない時間帯にお願いする。最も記していただきたい実行委員長だが、いかんせん委員長は会場内では走りっぱなしの状態で気ぜわしく仕事をされている。いつ声をかけようかと思いつつ、タイミングがなかった。残念。

 閉会式も無事終わり、後片付け。外のテントがないだけに、一時間もかからず終了。今回は準備、後片付け共に今までより楽をさせてもらった。会場内もコンパクトでほかのブース、ステージの様子もよく分かった。「室内でするのもいいよな」と思った。ただ、雨の影響からか、ずいぶん蒸し暑く、大量の汗をかく大会でもあった。

 今回のRFL、多数の人に「術後十年おめでとう」と声をかけていただき感謝している。私個人はいろいろ小さなミスを重ねた。もう一度、しっかり手術の頃を思い出し、ていねいに生きることを目指したい。