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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

     看護学生に語る(2016年8月28日)   皿海英幸

 「皿海さんこんにちは。よろしくお願いします」会場入りすると、引率の先生に声をかけられた。八月二三日(火)倉敷市・玉島市民交流センターでのこと。今日は「神戸中央病院付属看護学校と生きがい療法ユニオンの合同研修会」が開催されるが、私は体験談の発表がある。

 「いいのかな」生徒は毎年変わるが、引率の先生は昨年と同じ、それも名前も覚えていて下さると「なんだ、昨年と同じことをしゃべっている」ということになりはしないか。まあいいや。私の体験を正直に語るだけ。小細工のしようがない。

 本日の講師は前立腺がん・上顎がんのNさん(廿日市市)。 乳がん・骨転移のHさん(奈良市)そして私。「皿海さんは慣れているから落ち着いて話せますよね。私、以前京都でお聞きしたことありますよ」「いえ、何回講演しても出だしは緊張します。京都で講演したことはないですよ」「そうですか」事務局の人が声をかけた。「おそらく京都はビデオ学習で取り上げられたのでは」そうなのですか。でも、いずれにせよ、印象的な話だったということか。

 まずは伊丹仁郎すばるクリニック院長の講演「精神腫瘍学を活用したがん治療」そして、その次は「がん克服体験談。順番は私、Hさん、そしてモンブラン登頂経験者であるNさん。

 「お皿に海の皿海です。血の海ではありません」といつもの出だし。笑いはいつもほどではないが、注目している。今回は生真面目な学生が多いのかな。そして告知以来の治療経過を話す。最後に「私の体験から皆さんに伝えたいこと」として・絶対に諦めない。「諦めるより明らめる」・苦しいときこそユーモアを忘れない。ということを伝える。今年だけのスピーチだが、術後十年を八月二八日に迎えることを伝える。拍手。だけど、術後十年間を十五分にまとめて話すのは至難の業。もうちょっと時間がほしかった。

 NさんHさんも貴重な体験を話された。そのあとは、三グループに分かれてのグループワーク。次々に学生から質問をいただく。

「生きがい療法を生活の中にどのように生かしていますか」「目標をもって生きるようにしています。また、悩みはいつまでも一人で悩まず、期間限定で悩むようにしています。お笑い療法を意識し、ユーモア小話を作っています。そのためか、『がんになってから、明るくなったね』と言われることが多いです」

「医師や栄養士が『フルマラソンは無理では』と言われたのに、なぜ出場されたのですか」「我が家の力関係を考えた時、妻が『父さん、フルマラソンを目指したら』と提案したのを私がやめるわけにはいかないのです」と応えれば、笑わせ療法なのだろうが、本音で答えた。「困難なことだからこそ、工夫してやり遂げた時、自分が変われる気がしたし、同じ病気の人を勇気づけることになるのではと思いました。だから何としても完走しようとなったのです」

 「私の趣味はエッセイです」と言い、リレーフォーライフ広島のホームページ「がん友のエッセイ」をクリックすると読むことができることを話した時、学生たちがメモをしているのを確認し、うれしくなった。

 グループワークが終わると、学生たちは今日学んだことのまとめに入り、その間他の参加者は休憩時間となる。その時、事務局員Tさんの提案で、私の術後十周年を祝う乾杯がなされた。お茶とジュースだが、一番しんどい思いをした治療中に知り合った人たちが祝ってくださるだけにとてもうれしかった。

 「皿海さんはこういう話をされました」「皿海さんからこんなことを学びました」と私が参加したグループの発表では名前を交えての発表。ちょっぴり恥ずかしいけど、充実感あり。後日送っていただけるであろう『文集「生きがい療法からの学び」が楽しみ。

 すべてを終了すると、センター玄関前で記念写真。
「みんな表情が硬いよ、皿海さん声をかけて!」「一たす一は」「に~!」和らいだ顔に。でも私が声をかけていいの?

 「皿海さん、今年も駅まで送ってあげましょう」「ありがとうございます。じゃあ、積もる話を少ししながら駅まで行きましょう」多重がんだけど、日本舞踊が趣味で、踊っているとシャキッとするというNさんに送っていただく。今回の研修会も充実していた。良い術後十周年を迎えられそうだ。