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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

   記念日を前にして(2016年8月28日)   皿海英幸

 ガシャン 「痛い」目覚まし時計で起床、まだ半分寝ぼけたまま寝室から移動していた私はガラス戸とまともにぶつかりガラスは粉々。幸いなことに私の傷は膝小僧にバンドエイド一枚で済む程度。「やれやれ、びっくりしたな。気を付けなければ」

 最近、夜も暑くて寝苦しい。そのため、以前なら目覚まし時計をセットしていても、それより前に目が覚めていたのだが、最近ベルの音で起きることが増えた。

ともかく、出勤前に知り合いのガラス屋さんに電話をし、直してもらうように依頼。修理費は八千円余り。痛いな。そもそも日本の建築はガラス戸が多すぎるよ。別にアルミでも構わないのにというのは屁理屈か。

 翌日八月二十六日(金)は、入院している父のカンファレンス会議があるため、十四時で早退予定。ただ、週末のため、その週にたまったゴミ捨て・アルミ缶納品は毎週私が担当している。そしてリフレ午後の清掃も私の担当。

 月末が近い週末とあってはほかの職員さんもみんなあわただしく働いている。できれば私が担当している仕事は終了させ、気持ちよく早退したい。他の職員さんの負担を増やしたくないというのが人情。そのため、少し早めに取り掛かり、要領よく立ち回りたい。

 いつもは十三時から午後の作業開始だが、「ちょっと早いけどいいですか」と利用者に断り、軽四の箱バンにアルミ缶の入った袋とごみを積む。そしてそれらを業者に納品するためリフレ正面の入り口を右折で出る。

 「あ、危ない」助手席の利用者が叫ぶと同時にゴツン。直進していた車の右側後部と私の乗っていた車の左前方の角が衝突。「しまった!」道路の端に車を寄せて停車。首を左右にしっかり振り、確認したつもりだが、この車に全く気が付いていなかった。私の不注意による事故。

 警察官が来られるのを待ち、事情聴取を受ける。事実関係で争うつもりはないので淡々と進み、終了する。ただ、相手の方にはもちろん申し訳なく思っているが、大事な利用者を乗せての事故、人身事故でなかったとはいえ、申し訳ない思いでいっぱい。

 夕方、家族に報告。「父さんは左目の視力がなく片目での運転、『できれば自動車の運転はしない方がいいのだけど、仕事でどうしてもというのならよほど注意して』と言っているのに。でも誰も怪我がなかったのが何より。これからはできるだけ運転しなくてもいいように配慮してもらえればいいのにね」「術後十年目の記念日を前にして浮かれていたのじゃあないの」

 確かに八月二十八日は腹膜播種したスキルス胃がんの全摘手術をして十年目。感慨無量である。できれば当日、岡山市へ行き、岡大病院等思い出深い場所をジョギングで回りたいという思いがあった。また、岡大病院入院に際し、応援Tシャツを作ってもらったので、今回十周年記念Tシャツをお願いしようかなという気持ちはあった。でも、浮かれているという気持ちではないと思うのだけど。

 昨日、今日と私の不注意で事故を起こしたのは事実。もしかして「これで今年の悪運は使い果たし、これからは良いことばかりが続く」と考えるのはノー天気が過ぎるかな。事故を起こしたショックで落ち込んでいれば気分的に楽なのかもしれないが、我が家の状況はそういうわけにはいかない。

 今日のカンファレンスで、父の退院日が決まったが、病気が治癒しての退院ではない。病気の内容、高齢であることを考えると退院のタイミングは今しかないということ。しばらくショートスティで状況を見て、帰れるときに帰る。母も高齢で病気は進行している。妻は体格が良いが昨年末ひざの手術をしたばかり。落ち込んだり、浮かれたりする余裕はない。もちろん職場に迷惑をかけた分、どこかで埋め合わせをという気持ちもある。

 腹膜播種したスキルス胃がんで十年を生き抜いた、いや、生かされた命、大切に誠実にしっかり生きていきたい。

 二十八日は予定のない休日でしたが、やはり岡山へ一人行く気にはならず、畑の草取り、家の掃除等、ほかの人の役に立つような過ごし方をしました。