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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

    入院一カ月余り(2016年7月24日)   皿海英幸

 早いもので、父が入院してから一カ月余り。しばらくは食事をとると熱が出るので、中止し、栄養は点滴という日が続いていた。誤嚥しやすい状態が続いたのだ。尿も尿管を使用していた。そのためベッド上で過ごす日々。関節が曲がったまま拘縮するのではと思い、リハビリをお願いするも「骨の病気なので、主治医の指示が出ないとできない」「もう少し体力が回復しないと」という返事。家族が行った時、関節の周りをなでるくらいしかできなかった。

 先週からだったろうか、点滴をやめ、口からの食事にしても熱が出なくなった。そして尿管も外し、紙おむつとなった。「おなかがすいていけない」と本人が言うので、食事の量も少しずつ増えていった。

 「わしがベッドで寝ているところばかり見ても面白くもなんともないだろう。リハビリを頑張っているところを見に来ればいい」と父が言う。

「リハビリの時間はいつなの」

「日によって違う。午前と午後二回のことが多い」

「それじゃあちょうど合わせてくるというのは難しいなあ」

 そこに登場したのがリハビリの先生。「皿海さん、これからリハビリをしましょう。息子さんも見学に来られませんか」

「お願いします」

 一階のリハビリ室へ車いすで移動。まずは平行棒のような道具のところに行き、車いすから棒をつかみ、立ったり座ったりの練習。「手に力が入りすぎです。膝の曲げ伸ばしで立ち上がる練習ですよ」父は体のあちこちに余分な力が入っているようで、力んでいるのが目に見える。「息子さんにいいところを見せようと力んでいるのではないですか。もっと力を抜いていつものように」

 次はベッドの柵を持ち、車いすから立ち上がり、ベッドに腰掛ける練習。「ベッドから立ち上がり、ポータブルトイレが自分で使えるようになって退院するのを目標にと考えています」

 「主治医には『骨の病気、良かったり悪かったりしながらですが、悪くなっていくでしょう』と聞いています。退院できるのですね」

「確かに骨の病気の進行がどこまでかによるところが多いですね。ところで、介護度はどうなっていますか」

「先日病院で調査していただいたのが先日届きました。あの頃は点滴していてほとんど動けなかったし、はっきりとものが言えない状態だったからか、介護度は進んでいます。福祉の制度はかなり使えると思います」

「そうなのですか…」何か考え込んでいる様子。

「退院が決まったら、病院の相談員さん、ケアマネージャー、家族でしっかり話し合う必要があると思っています」

「そうですね、それがいいでしょう」

 その後、父は吊り輪みたいな道具をつかみ、両手の上げ下げのトレーニング。

 「皿海さん、今日はこれくらいにしましょう。昼食ですが、今日もベッドの上ではなく、車いすで移動し、机で食べるようにしましょうね」

「ありがとうございます」

 主治医には「副作用、年齢的なことを考えると、積極的な治療は勧められない。となると、そんなに長くはもたないだろうから、家族は覚悟をしておいたほうが良い」と言われている。それは受け入れてはいるのだが、本人が希望をもって生きている以上、主治医の見解がどうであれ、エビデンスがどうであれ、家族としては諦めず、希望をもって本人の支援をしたい。まずはこまめに病院に通い、声掛けをしたいと思う。