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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

!    十年目に感謝!(2016年4月27日)   皿海英幸

 「またやっちゃった。いや、こういうパターンの失敗は初めてだよ」岡山へ向かう山陽本線の中で気づく。気が緩んでいるのかなあ。今日は年に一度のがん検診。だけど岡山医療センターの診察券を忘れてしまった。

昨日、保険証、CTの予約票、そしてジョギングする際の着替え等は準備したのだが診察券がなあ。まあいいか、こういったケースで医療センターがどういった対応を取ってくれるのを確認するのも貴重な体験。いつもより時間はかかるかもしれないが十年目の記念日なのだから一日かけても、よい結果が出ればそれでよし。

岡山駅で「国立病院行き」のバスに乗り換え、八時前に医療センター到着。「申し訳ありません。診察券を忘れたのですが、どのような手続きをすればいいのでしょうか」居合わせた職員に尋ねる。「機械で受付をすることはできません。二番の窓口、新患受付前で待機し、受付開始になったら事情を言ってください」

八時十分、機械による受付開始。窓口の受け付けは二十分、CT検査の前に採血あり。十分の差が影響しなえればいいのだが。

「新患の方、紹介状をもってどうぞ」受付開始だ。真っ先に行き、保険証と予約票を提出し、事情を話す。「ごめんなさい、こういうケースはもう少し早く受付することができたのですよ。少しお待ちください、手続きします」

渡された紙の「仮診察券」を持ち、外科外来の受付へ。外科の受付を済ませファイル持参で採血室へ。順番待ちをしていたらすでに九時。しょうがない。「皿海さんどうぞ」採血をし、腕に針を残して放射線受付へ。

多数の人がCT室前の長いすに待機していたが、予約時間のせいかすぐに呼ばれて室内へ。造影剤を使ったCT検査。「いいですよ。服を治してゆっくり降りてください」台から降りて気が付いたのだが、床にヒール痕が目立つ所にあり。壁に絵を描いたきれいでしゃれた部屋だけに余計目立つ。職業柄靴底でこすって消そうとするが、「いや、やめておこう。外には順番待ちの人がいるし、今日は検査を受けに来た患者だ」

これで検査は終わり。胃がんの検査と言っても胃カメラやバリウムの検査は胃を全摘している私には不要。外科受付にファイルを返し、診察時間を確認すると食堂へ。朝食抜きできたので何か口にしたい。え!ご飯、おかゆ、パンと言った朝定食がない。よく見ると業者が変わっている。神戸の有名店らしいが、以前のワンコインで食べられる日替わりランチを今日の昼食にと楽しみにしていたのに。売店に回るとこちらもセブンイレブンに変わっている。以前の天満屋ストアーが岡山らしくてよかったのに。結局サンドイッチと缶コーヒーを口にする。

外科外来のフロアーで「今日が人生最後の日だと思って生きなさい 小澤竹俊著」を読みながら待つ。
「皿海さんどうぞ」主治医の声を聴き診察室へ。
「最近もマラソン、走っていますか」
「はい走っています」私の診察はたいていこの会話から始まる。

「調子はどうですか」「はい、順調です」(順調でなければマラソンできないよ)とは突っ込まない。
「食事の味は変わりませんか。便はどうです」
「おいしくいただいています。便はほとんど毎日出ていますよ」

「体重はどうです」「ほとんど変わりません」
「もうすぐ十年でしたね」
「八月で術後十年です。五年生存率はあるが、十年生存率はどうですか」

「うーん。聞かないなー」と苦笑する医師。私はスキルス胃がん十年生存率が上がればと思って頑張った。
「十年たっても再発転移の可能性がありますか」
「ごくわずかだがあります。まったく安心ではない」
「胃がんよりも老化に伴い、他の臓器の発がんを心配した方が良いような気もしますが」

「今の血液とCTの検査でお腹や胸の発がんはわかります。これからも一年に一回検査をさせてください」
「わかりました。よろしくお願いします」

自動支払機で支払いをすます。これも昨年はなく、窓口の職員に支払っていた。一年に一度の受診だとずいぶん雰囲気が変わっているように思える。何はともあれ、良い結果をもって病院を後にする。この後は駅のコインロッカーに荷物を入れ、晴れの国岡山でジョギングを楽しむぞ!