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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

   その人らしい暮らしの実現へ(2016年4月12日)     皿海英幸

 「ちょうど良いタイミングだ。できれば参加したいな」四月一日、障害者差別解消法が施行された。そこで次の内容の講演会に参加した。「『障害者差別解消法』の施行とこれからの地域生活支援」四月九日(土)広島市東区地域福祉センター。講師は玉木幸則氏 NHK Eテレ「バリバラ」の出演者でもあるのでそちらに注目される人もいるかと思うが、私は「誰が言ったか」よりも「何を言ったか」を重視したい。

 それではいつものように、講演の中で特に印象に残った部分を記してみたい。

 まず結論を言います。「障害者差別解消法がきっかけとなり、あらゆる差別解消に向かって取り組んでいくことが大切と思う。人種差別撤廃条約、国連の採択一九六五年。日本の締結一九九五年。三十年かかっている。日本は差別解消に積極的な国と言えるのか。

 私は仮死状態で生まれ、三歳前に脳性麻痺と診断された。医師は「何らかの障害が出てくると思います」違うでしょう。「心配しないで。医療・福祉・教育も理解が進んでいます。一人で抱え込まないで。みんなで大切に育てましょう」と付け加えなくては。

 二〇一四年の新聞記事によると、「新型出生前診断で異常が確定したうち、九七%が人工妊娠中絶をしたと発表。多数の人は本音の部分で「障害のある子は生まれてこない方がいい」「幸せになれない」と考えている。
 幸せは誰が決めるの、いつ決めるの、多数決で決めるものなの?障害の有無にかかわらず、主体的にしたいことを一杯していくことが幸せでは。

 「障害者は社会に出て困らないように訓練する必要があるから、施設で過ごしなさい」と言われるが本当だろうか。社会生活は生まれた時から始まっている。例えば、五歳には五歳の社会生活がある。入所により社会生活から引き離されている中で、年相応の生活体験が奪われているとも考えられる。

 障害者は「まだ早い、○○ができるようになってから」と言われることが多いが、そうだろうか。体験していないから、失敗していないからできないだけ。人は失敗することで成長する。待っていたらますます普通の生活ができなくなる。

 自分の暮らしは、自分で決めることから始まる。自己決定・自己選択、そして意思決定支援が大切。

 障害者差別解消法施行による福祉サービスにおける具体的ポイントの例を挙げる。

「不当な差別的取扱い」・強度行動障害の人はちょっと
・触法の人はちょっと こういうことを言う以上は理にかなった説明が必要とされる。

「合理的配慮の不提供」・重度になったから ・うちは精神障害専門なので

 そうはいっても「うちの事業所では負担が大きい」と思うところもあるでしょう。そんな時、複数の法人、事業所間の連携が必要となってくる。また、様々な社会資源とのネットワークを考えることも大切。そうした中で、合理的配慮を重ねていく必要がある。

 障害者差別解消法施行に当たり、障害サービス事業所は、いろいろな立場の人から注目されてくるはず。私たちの支援が差別解消推進のブレーキにならないように。

 ピープルファースト 「私たちは、障害者としてではなく、まず人間として扱われたい」

 チャイルドファースト 「私たちは、障害児としてではなく、まず子供として扱われたい」

 子供はそれぞれ違った存在であり、違った個性を持っている。障害も個性、特別支援教育から個別支援教育へ。障害は特別ではない。

 障害のある人もない人も助け合いながら、その人らしい暮らしを実現していける社会に。

 玉木さんの講演は、予定より三十分延長となったが、全くそれを感じさせない意義ある内容だった。職場で生かせるよう、職員間でしっかり取り組めたらと思った。