2009メインメニュー

postheadericon 順調だったワックス清掃

2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

    順調だったワックス清掃(2016年3月23日)     皿海英幸

 「皿海さん、十九日のワックス清掃、十二時を過ぎたら歩いても大丈夫ですよね」健康福祉課職員に声をかけられた。「はい、そのつもりで頑張ります」と応える。三月十九日(土)はリ・フレ一階エントランスホールのワックス清掃予定日。一回で行う面積としてはリ・フレでトップかな。冬場なので床が冷えていればワックスの乾きに時間がかかる。順調にいけば十二時だが、障害者と一緒の作業なので余裕をもって行いたいのだが。

 前日十八日、同僚のSさんと現場で打ち合わせ。「作業範囲はテープで印をつけておきます。ポリシャーは二台。私とあなたで使用です。あなたはあちらからこちらへ洗浄してください」Sさんは昨年九月、清掃担当職員として採用された。日常清掃は安心して任せているが、ワックスは念のため、打ち合わせしておく必要あり。「当日九時作業開始なので八時四十五分に来てください。私は八時出勤なので、それまでにホールの机や椅子を搬出しておきます」「一人で無理しないでください。皿海さんが疲れたら大変です。頼りにしていますから」「ありがとう」

 当日の朝、リ・フレが開くと同時に準備開始。使用する道具・機械を出して確認。椅子の搬出を開始する。

 「おはようございます」「えっ!」声の方に顔を向ける。Sさんだ。「皿海さんが一人で椅子を動かして、ぎっくり腰になったら大変です。手伝います」「ありがとう」二人で机を両側から持って移動。狭いところでは私が後ろ向き、彼女が前向きで移動するよう配慮する。一人で黙々と作業の予定が二人で会話を楽しみながらの楽しい作業に。思いのほか作業がはかどる。

 八時四十五分全員集合。職員三人、利用者三人だがそのうち利用者二人は風邪気味。「風邪の人は無理をしないで。その分は職員が頑張ります」

 九時、作業開始。順調だ。「これからポリシャーを使って洗浄します。Sさん打ち合わせ通りあちらから、私はこちらから。利用者は職員Hさんの指示で作業をしてください」「Sさん、今日は広いですから一人で思いっきりポリシャーを使ってください」「はい!わかりました」今までのポリシャー洗浄の際、私がSさんのそばで見守りをしていたが、今日からは独り立ちしてほしい。

 十時ころ休憩。「休憩終了後、利用者とHさんは使った機械・道具を洗い、倉庫にしまってください。Sさんと私はワックス塗布。Sさん打ち合わせ通りのワックス塗布を。『塗布はしたけど、逃げ道がなかった』ということにならないように」「はい!了解です」「机や椅子の搬入の時、声をかけてね」と告げ、片付け作業を始めるHさん。

 「全面が乾くのを待つより、乾いたところから二人で搬入する方が結果として早く終了しませんか」「そうだね。こちらは朝みたいに二人で。あちらが乾いたらHさんたちに声をかけよう」

 「ここを通って事務所へ行ってもいいですか」健康医療課職員。「どうぞ」 そういうことだったのか。午後休日出勤しようと思い「十二時を過ぎたら~」と言われたのか。でも十二時までもうちょっとあるのだけど。

 十一時五十分、すべての作業を完了。全員施設に帰り、内で作業をしていた利用者・職員と合流し、終わりの会。

 「今日は本当にありがとう。早く来て搬出が二人でできたので予定時間内にできました。何かお礼をしようかな」「缶コーヒーがいいですね」「ブラック・微糖どっち」「微糖で」「自販機よりスーパーが安いのでスーパーで買ってくるね」Sさんとの会話を楽しんでいると「私も缶コーヒーがほしい」Hさんが割り込んできた。「いいですよ、二人分買ってきます」おっと、そばで管理者が笑いながら聞いている。「わかっていますよ。施設内で物品の個人的やり取りは好ましくない。職員みんなに缶コーヒー、差し入れします」

 職員みんなとなると、Sさんへのお礼という意味合いが薄くなるかな。でもおそらく大丈夫。Sさんはこまやかな心遣いのできる人。きっと私の感謝する心を感じながらコーヒーを飲んでくれると思うことにしよう。

 定年を意識し、消極的になり始めた私に取り、Sさんとのワックス清掃は心地よい刺激を与えてくれた。来年度のワックス清掃も頑張ります。

 私がエッセイを記し始めた動機は「平凡な日常の中で、うっかり見逃したり忘れてしまったりしそうだけど、本当は大切なことを記しておきたい」という思いから。今回のエッセイを記していて、このことを思い出させてくれました。