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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

    開催、待っています (2016年1月30日)     皿海英幸

 「困ったな。どうしよう」今日一月二十四日(日)岡山市で「リレーフォーライフ(RFL)HOPEセミナー」が開催される。だけど府中市は雪で積もりそうな気配。妻は松葉づえでの生活。私がいないと我が家は買い物等外出に困るだろう。よし、予定より電車を一つ遅らせて判断することにしよう。

 「やはり気になるので行ってこよう」電車で岡山へ。「えっ、なんだ」岡山駅で降りる。風が吹くと寒いが、雪・雨の気配は全くない。さすがに「晴れの国岡山」。「これなら早めに来て市内でのジョギングを楽しめばよかった」待てよ、我が家の状況、忘れているぞ。

 HOPEセミナーは定刻十三時三十分より始まった。
第一部は日本対がん協会会長垣添忠生(かきぞえただお)氏の講演「人はがんとどう向き合うか」垣添氏は三つの話題をもとにがんについて語られた。

●「人はどんな状況に置かれても、希望をもって生きる存在です」

 自分の身体の異常にどう対処するかは人により全く違う。進行した大腸がんで五年生存率二十%と告知された関原建夫氏。がんについて学習し、医師としっかり話し合い六回のがん手術を受けられた。そして、日本対がん協会専務理事として活躍されている。

 直木賞作家として有名な開高健氏は食道がんになり、五十九歳で亡くなられたが、酒、たばこを愛された方としても有名。

 人間の強さ弱さをすべて内包して医療はある。

●「妻の場合」
 僅か四ミリで発見された小細胞肺がん。抗がん剤・放射線による治療だった。きつい副作用にも耐えてくれたが「あなたの社会的立場を思い、治療を受けている」と言われ絶句。

 二〇〇七年一二月「年末年始は自宅で過ごしたい」と言われ、連れて帰る。在宅用医療機器や医薬品等を自宅に持ち帰り、すべて私が対応。しかし、三一日夕方静かに息を引き取る。四日間の在宅医療であり、告知から一年半であった。

 その後三カ月は苦悩の日々、一年間は死ねないから生きているという状態。ウイスキーなどきつい酒を口にする機会が増えた。そういう過程を経て「積極的に生きよう」と考えるようになった。

 書くことにより、心の奥の悲しみが亡くなるのではと思って書き記していたものをまとめたのが「妻を看取る日(新潮社)」です。

 私自身は点滴なしの在宅死、即身仏のように死にたいと思っている。

●「人は⒑の二十七乗,⒑のマイナス三十五乗の世界に生きている。」

 この世で最大のものは宇宙。すべての銀河団の集まりは⒑の二十七乗メートル。そして最小素粒子は⒑のマイナス三十五乗メートル。この途方もないスケールが自然界の幅。がんも多彩なら人も多彩。人はどんな状況でも希望があれば生きられる。

 がん経験者ががんになる以前と同じような生活を気負いなく淡々と営める社会であってほしい。

 第二部「今、私たちにできること、RFLとは」(岡山県新規開催に向けた、初めての説明会)
  担当 岡本宏之氏 時森由佳氏

 RFLとは「がん患者さんやそのご家族を支援し、地域全体でがんと向き合い、がん征圧を目指します。一年を通じて取り組むチャリティ活動です。

 使命と三つのテーマ
・がんの告知を乗り越え、今を生きているサバイバーや家族などの支援者を讃え、祝福します。

・がんで亡くなった、愛する人をしのび追悼します。また病の痛みや悲しみと向き合っている人を敬います。

・がんの予防や検診を啓発し、制圧のための寄付を募り、がんに負けない社会を作ります。

 シンボルカラーは紫。がん細胞は夜昼なく活動している。だけど夜から朝にあけるときの数分、空が紫色(パープル)に染まる。これを希望の光ととらえ、朝を迎えられた喜びを分かち合う。だからシンボルカラーは紫。

 次にRFL広島のビデオ映像を使っての説明。「えっ!」私が発言している場面が流れ始めた。「余命宣告、五年生存率、こういった数字は過去の統計にもとづくもの。必ずあなたに当てはまるとは限らない。数字の告知があっても希望を失わず、勇気をもって生きていきましょう」

 今も思いはその通りだが、なんだか恥ずかしくなり、少し視線を逸らす。「えっ!」会場に大きくうなずきながらビデオを見ている人たちの姿が確認できる。「皿海さんの体験・思いを語る場が増えて元気をもらえる人も増えるといいね」と言ってくれたのは同席の福山乳がん患者会(アンダンテ)のメンバー。

 私は広島県府中市在住だが、スキルス胃がんの手術を受けたのは岡山大学付属病院。そして今も年一回がん検診を受けているのは岡山医療センター。岡山でのRFL開催を待ち望んでいるとともに、何らかの形で協力できたらいいなと思っている。

 (当日の配布物をそのまま抜き書きした部分があります。著作権に触れるようでしたらごめんなさい。お許しください。)