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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

   これだからやめられません(2015年12月14日)      皿海英幸

 スキルス胃がんの告知を受けて約十年。これだけの月日が過ぎると記憶があいまいな部分が出てくる。だけど人前でがん体験を話すとなるとあいまいなことは少なくしておきたい。そう思い、手術前後に記したエッセイを読みながら振り返る。看護学生が相手とあっては医学的につじつまの合わない話はできない。準備はしっかりしておきたい。

 さて、十二月八日(火)玉島市民交流センター(倉敷市)において看護専門学校と生きがい療法との合同研修会が開催された。八月に予定されていたが、台風の影響で延期となり、異例の十二月開催である。

 まずはすばるクリニック伊丹仁郎先生による生きがい療法に関する講演。ここでは生きがい療法五つの指針について記しておく。

①自分が自分の主治医のつもりで病気や人生の困難に対処する。
②今日一日の生きる目標に打ち込む。
③人のためになることを実行する。
④不安・恐怖はそのままに、今日できる最善を尽くす。
⑤死を自然現象として理解し、今できる建設的準備をしておく。

その後、三名によるがん克服体験談。最初は倉敷市の卵巣がん体験者。日本舞踊が趣味の女性で、夫ががんになったとき、自分の体験が役立った。そしてがん検診・がんの情報収集は大切と話された。

次は奈良県から来られた乳がんの女性。「体験発表は初めてなので落ち着かなかったが、会場で皿海さんに『自分の言葉でがん体験を語ると力が付きます。元気をもらえます』と声をかけていただきほっとしました」という出だし。恐縮します。

信頼できる医者との出会い、治療法の情報収集は大切。そして治療後は気功・食事療法、生きがい療法を取り入れた生活を送っていると笑顔で話された。

三人目は私。治療経過をまず話す。次に腸閉そくを起こした夜に考えたこと、フルマラソン出場の思いなどを話す。そして「私の体験から学生の皆さんに伝えたい事」として○絶対に諦めない。諦めるより明らめる。○苦しいときこそユーモアを忘れない。「ユーモアとは、~にもかかわらず笑うこと」デーケンさんの言葉。

 三人とも持ち時間十五分ということだったが、皆少しオーバー。がん体験を語りだすと思いがこみ上げるのか、持ち時間内に収めることが難しい。

 さて、その後は三グループに分かれてグループワーク。三名のがん体験者は分かれてそれぞれのグループに入る。私のグループでは・がんの告知を受けた時の本人・家族の心境 ・マラソンの最中は何をどう食べているのか ・体験談を語ることを家族はどう感じているか などといった質問が出され、その後は学生たちでまとめのための話し合いとなった。

 いよいよ班ごとの発表となったが、主なものを記しておく。
○がんになってもあきらめず、日々を大切にし、達成できる目標を考えて生きる。
○病気になっても学習し、行動することで生きがいにつなげる。
○信頼できる医師そして家族を大切にする。
○積極的に患者と話し合い、その間は不安を忘れてもらう。寄り添うような看護師になりたい。
○患者だけでなく、家族も支えられる看護師になりたい。

 終了後、玄関付近で記念に集合写真を取ろうということになる。写真終了の際、看護学生に話しかけられた。「皿海さん、今日はありがとうございます。二月には看護師の国家試験があるので、バレンタインラブラン、今回は参加できません。でも私の友人はボランティアとして参加します。でも次回は参加したいと思っています」うれしい発言である。これだから、やめられませんね。看護学生との合同学習会、そしてバレンタインラブラン(神戸市ポートアイランドにて開催)出場も。

 暖かい気分で帰路につく。今年の冬が暖冬と言われているからだけではないと思う。