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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

    みんなで一緒に走りましょう(2015年11月24日)      皿海英幸

 「始発電車で出かけるのは久しぶりだな」福塩線高木駅を五時三十一分発の電車で出発。まだ暗いので車窓からの景色を楽しむことはできない。ウォークマンで音楽を聞きながらうつらうつら。目指すは奈良線長池駅。今日十一月二十二日、京都府立木津川運動公園にて「みんなで走ろう!障がいのある人もない人も」のスローガンの下、「京都てんとう虫マラソン大会」が開催される。私は八周コース(十キロの部)に出場予定。

 京都駅で奈良線に乗り換えるとラッシュ時のような混雑ぶり。どうなることかと思ったが、つぎの東福寺駅で多数の人が降車。東福寺は紅葉の名所なので今の時期、観光客が多いということか。次の稲荷駅(伏見稲荷)でも降車する人が多く、車内は落ち着いてきた。

 「京都てんとう虫マラソン」、昨年までは九月に宝ヶ池周回道路で行われていた。時期・場所も変更して初めての大会なので、できれば落ち着いた雰囲気の中、余裕をもって参加したい。

 「おはようございます。こちらの道を進んでください」長池駅につくと大会ボランティアが出迎えて案内。この後も要所で案内。親切に甘えていると、帰るとき道がわかるかな。

 大会会場に着き受付をする。ゼッケンと参加賞の入った袋をいただく。「手紙を預かっています」と言われドキ!開封してみると「今日は遠くから来ていただきましたので、ささやかですが素敵な記念品を用意しております」とある。なあんだ。がんの手術以来、しばらく不参加だったが久しぶりに参加を再開した時、その喜びをエッセイにして実行委に送った。その際実行委の一人から礼状が届いた。そこで「手紙」と聞く個人的な手紙かと思い、ドキ!とした。

 参加袋に抽選券が入っていたので引換所に行く。「タブレットの画面を回してください」画面に指をあてて回すと「花が当たりました」と赤い大きな花(ポインセチア)をいただく。ガラガラポンで出した球の色で「何等です」という時代に育った私、タブレットでの抽選なんて驚きだ。

 さて、スタート時間が迫り、スタート地点に集合。「雨が降り続いたので一部水たまりができています。てんとう虫マラソンとはいえ、転倒しないように」と実行委から注意あり。吉本新喜劇ならみんなでずっこけて転倒するセリフだよ。
 定刻となりスタート。私は最前列からのスタートとなった。宝ヶ池だとフラットなコースだが、ここのコースはアップダウンあり。コースになれるまではゆっくりジョグで楽しもう。距離やタイムを気にせず、障がい者も健常者も楽しんで走る。こんな目的・雰囲気が好きで参加している。だけどフルマラソンの大会三週間前だ。ここらで心身に一度刺激を与えておき、その後は疲れを残さないように軽めの練習をする予定。よし、今日二周くらいは本気で走ろう。

 大会本部前を走るとき、ゼッケンナンバーと名前をマイクで告げて応援してもらえる。「730番サラウミさん頑張って」えっ!私はサラガイです。次回から漢字でなくカタカナで申し込もうかな。でも次の周から「サラガイさん頑張って。広島からの参加です」と言ってもらい、うれしかった。
 ほかにも要所でボランティアが声援してくださる。「マイペースで」「いい走りですよ」気持ちがいい。「アベさん頑張れ」えっ!実は私、カープの真っ赤なユニホームで走っています。背番号60なので「アベさん」京都でカープのユニホーム、度胸あるよね。でもタイガースファンを挑発しようという気持ちはありません。気合を入れるため、そして大会アルバムで自分を探しやすくするため。

 視覚障がい者が伴走者と共には知っている場所では端により、少しスピードを落とす。私はこの大会で伴走・車いすでの出場経験があるので配慮は当然。

 気持ちよく完走。タイムも予想より少しいい。手作り感ある完走メダルを首にかけてもらい、とてもうれしい。着替えていると「葡萄酒の試飲会をやっています。お気軽にどうぞ」「えっ!」そんなのありですか。喜んで行ってみると「葡萄酢の試飲会」なあんだ、でもこの葡萄酢、飲みやすいなあ。

 その後、車いす体験教室に参加。わかりやすい説明を聞きながら車いすを動かす。チャレンジ賞と参加賞をいただく。
 さて、いよいよ遠距離の記念品をいただきに行く。手紙を本部の担当者に出すと、「皿海さんですよ」と他の実行委に声をかけられた。「遠方よりご苦労様」「参加ありがとうございます」声をかけていただいた中に、以前手紙をいただいた方がおられ、しばらく談笑。「一年に一度でもいいから皿海さんに会えると嬉しいです。元気になります。次回もまた参加してください」広島からは遠方ともいえる京都にも私を待っていて下さる人・生き方を支持してくださる人がいる。とても幸せ者だなと思う。来年もきっと来るだろうなと思いつつ、会場を後にした。

 今日は11月22日でいい夫婦の日。一人で京都に来てマラソン大会を楽しんだ。明日は埋め合わせ。家事を頑張ろう。