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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

    まだ間に合えばいいのだが (2015年9月21日)  皿海英幸

 「日本人は身体だけでなく、心も壊れかけているぞ。まだ修復可能ならいいのだけれど」こんな気持ちにさせる本がある。

阿部司著「何を食べたらいいの? 新潮文庫」 びんご生と死を考える会主催の講演会「もっと知ろう 食品添加物」を聞き、「もう少し学習したい」と思って読んだ本。一部を紹介しよう。

 あるお母さんが、中学生が持って帰るお弁当箱がきれいすぎることに気づきました。娘に尋ねて真相を知った。愛情のたっぷり込められたお弁当なのに、「あの子見てごらん、コンビニの弁当も買えないのだよ。あたしたちとは格が違うね」と友達に見下された。

 だから、その子はお母さんに見つからないように、登校途中のコンビニのごみ箱に手作りの弁当を捨てて、そこで大量生産のコンビニ弁当を買っては学校に持参していたのです。

 彼女の友人の言う「格」とは何でしょうか?

 二〇〇種類の添加物の入ったコンビニ弁当の方が、お母さんが早起きして作った手作り弁当よりも価値が高いという感覚。そんな価値観を子どもたちは持ちつつあるのです。

 最近、中国、ヨーロッパ向けと日本向けの食品を作っているベトナムの工場を知り合いが訪れました。従業員のベトナム人はこういったそうです。「日本人向けの作業場以外なら、どこでもいいから配置を変えてください。怖いのです。日本人はあれだけ頭が良くてお金持ちなのに、食べ物にどうしてこんなに薬を一杯入れさせるのですか」「だって、日本人はこうじゃないと買わないよ」「中国向けの作業場へ行かせてください。あそこは塩を使うだけでいいのですから」そんな希望が出るのです。誰だって給料よりも自分の体の方が大事です。

 読んでいてつらくなる。私は職場へ妻手作りの弁当を持参している。職場だけでなく、外出する際、できるだけ弁当持参を心掛けている。胃を全摘して以来、ほかの人と違い、食事はつらい作業なので、なるべく食べやすいものを、そして毎回同じ量を食べたほうが楽という思いからだ。それと、家族の食事を少し多めに作り置きし、それを詰めれば市販の弁当よりお安く作ることができる。人はこれを愛妻弁当というが、そうかもしれない。

 生と死を考える会で学習する以前から、コンビニ弁当は添加物が多いということは知っていた。そのことを体感するためには、実験すればいい。我が家で作った手作り弁当と、コンビニ弁当を常温で放置しておいて、腐り方を比較すればいい。

 それではなぜ、添加物を使うようになったのか。添加物の働きと目的を本書より要約する。

 1安い(単価が下がる)
 2簡単(調理の面倒くささがあらかじめ解決されている)
 3便利(保存性と、今すぐほしいという要求を同時に満たす)
 4美しい(見た目をきれいにする)
 5オイシイ(濃厚な味を作る)

 こうした状況の中で、それでは添加物を減らすためには何から始めればいいのか。本書より添加物を減らすコツを記してみよう。
 1無駄遣いを減らそう。(ポン酢や合わせ調味料など自分で作ることができる)
 2添加物を取っていることを自覚する。
 3一週間のスパンで考える。(週初めは加工食品になったら、週末はきちんと手作りのものを)
 4自分でできるものは作ろう。
 5優先順位を決める。(価値観を見直す時期)
 6料理を薄味にする。
 7「おいしくない」で判断してもいい。(素材本来の味に普段から慣れておけば、求める味が違う)
 8みんなで家事を手伝おう。(お母さんに全部押し付けたらかわいそう)

 日本人の多くが物事の本質よりも見た目で、そして効率とで判断しすぎているように思う。今一度価値観を見直してみたい。まだ間に合うことを信じて。