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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

   ルミナリエステージ15 (2015年9月4日)  皿海英幸

 皆さんこんばんは。府中市から参りました皿海英幸です。私、先日の8月28日で9回目の誕生日、つまり術後9年を無事に迎えることができました。

 9年前「腹膜播種したスキルス胃がん。手術ができる状態ではないので、抗がん剤治療を優先させよう。もし抗がん剤が効かなかったら余命三カ月です」と告知されました。幸い抗がん剤の効果が思った以上に効いたので、胃・胆のう・脾臓の全摘手術を行いました。だけど、退院時、「手術は成功したが、五年生存率は10%を少し超えるぐらい。元気になった人の例はほとんどない」と言われました。五年生存率10%余りということは似たような症状のがん患者が100人いたとすれば、90人近くの人が5年以内に無くなっていても不思議ではないということですよね。

 3年日記をつけていた私に妻が言いました。「父さん、5年日記、いや10年日記にしたら。5年、10年生き抜いて」「先生が何と言おうと、楽しそうにジョギングしている父さんを見るととても5年以内に亡くなる人とは思えない。早くジョギングを再開できるといいね」

 私も「家族のためにも、今は死ねない。前例がないといわれるのなら、私が前例となるような生き方をしたい」と思いました。そんな風に思いながら9年を生き抜くことができました。

 その間、職場復帰しました。胃がないにもかかわらず、フルマラソン42.195キロを連続5回完走しています。今年も12月に宮崎市で行われる「青島太平洋マラソン」に申し込んで練習を積んでいます。

 皆さんの中にも余命宣告をされた人、5年生存率の数字をいただいた人がいると思います。だけど、そういう数字は過去の統計に基づくものであり、必ずあなたにあてはまるものではありません。数字よりも、身近にいる人の思い、直感を大切にして生きてみてもいいのではないでしょうか。そして何よりも大切なこと、がん患者であるあなた自身が絶対にあきらめないこと。希望をもって生きること。

 先ほどフルマラソンを完走したと言いました。初回出場するにあたり、医師、看護師、あるいは栄養士に相談しました。だけど、皆さん「胃のないあなたは事前にしっかり食べてエネルギーをためておくことは無理。だからフルではなく、5キロ、10キロを楽しんで走ったら」と言われました。

 それを聞いた私は何としても走りたいという思いが強くなりました。「胃がなくて、事前に食べておくことができないのなら走りながら食べてみよう。胃のない私がフルを完走すれば、私自身が変わると同時に、他のがん患者にも勇気を持ってもらえるのでは」と思いました。まさに「前例がないなら、私が前例となるような生き方を」ですね。

 ところでがんサバイバーの方は、受付で紫色のリストバンドをいただきましたね。リレーフォーライフでは紫色は夜明けの空を象徴する色とされています。今がどんなに苦しい闇の状態だとしても、きっと夜明けがくることを信じて前に進みましょう。がんになっても自分らしく生きていきましょう。

 リレーフォーライフ、行事としては二日間ですが、ホームページを開設しています。そこにはお知らせや連絡先も記入してあります。がんで苦しんでいるとき、一人で悩んでいるよりも誰かとつながっていると思うことができればずいぶん気持ちが楽になります。どうぞ、リレーフォーライフ広島のホームページを利用してください。状況によっては連絡してください。ただし、がんは気持ちの持ちようだけで治るものではありません。主治医としっかり話をし、納得の治療を選択してください。

 次回のリレーフォーライフでもまた皆さんと会えることを楽しみにしております。私のスピーチを聴いていただき、ありがとうございました。