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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

   オーダーメイドの治療を
 「患者の『したいこと』優先」という文章を読んだ。副題は「人生ありきのがん治療」。十月二十四日の読売新聞「論点」に林基弘氏が記していた。これを読み、ほっとすると同時に考えさせる文章だなと感じたので、要旨を記してみたい。
 「標準治療」とは、安全性と副作用のバランスを考えた上で最大限の効果を引き出すことを目的とし、治療を進める上で必要不可欠な道しるべ。
 医療者が考える「効果」のみで治療を決めるのでなく、患者の人生や価値観を理解し、そのうえで個人に合わせた治療方針を考えるべき。
 これからの人生を謳歌するために、どの治療が必要なのかを共に考え、立ち向かう勇気が生まれて初めて治療は始まる。
     
 そして、こうした考え方に基づいて治療を行ったダンカン氏の夫人初美さんの例を記されている。
 これを読んでいて、今年七月広島で行われた「とまーれ」の学習会を思い出した。県立広島病院の医師は「人によって生活・考え方は違うので、その人に合った治療法を提案することが大切」と言われた。その中身を具体例として示したのが今回の林氏の文章のような気がした。
 このように患者側からすれば当たり前の内容の文章が今、なぜ全国紙で取り上げられるのだろうか。それは患者個人に合わせたオーダーメイドの治療をする医師、病院が少数であり、標準治療のみ行うという医師、病院が多数を占めているということかと思う。
 それについて今村貴樹医師は「患者力3」で次のようにあらわしている。
 標準治療はコストパフォーマンスがよいのです。また、ガイドラインに沿って治療を行ったといえば、治療の結果はどうあれ、医療訴訟も少なくて済みます。(中略)また、何よりも、患者ごとの治療法を検討しなくてよいので、医療者の労力も少なくて済むのです。(中略)標準治療というものが、必ずしも患者目線で統一された治療法ではないということが理解できると思います。
 私のがん治療は比較的スムーズであった。そのためか、林氏の考え方が医師の中で主流だと思いたい。しかし、林氏の文章がわざわざ新聞に「論点」として掲載されるという事実、患者会行事で聞かされる話などを考えると、今村氏の現状分析に耳を傾けざるを得ない。
 それでは、患者はどのような態度で自らのがん治療に臨めばよいのだろうか。私が考えられる点を記してみたい。
まず言えることはがんに関する基本的な部分は学習しておく必要があると思う。医師の説明がよくわからないというのでは前に進まないと思う。そして、疑問に思うこと、不安なことは遠慮せず、医師に伝えることです。話しにくかったら箇条書きした文章でもかまわない。納得いかなかったらセカンドオピニオンを受けてみるのも大事だと思う。要は、自分が自分の主治医のつもりで病気に対処することです。
また、患者会等がんに関する行事に参加し、話し合いができる人を見つけることもよいかと思う。
そして、今回取り上げた林氏、県立病院の医師、今村氏といった患者の人生・価値観を重視する考え方を持った医師が主流になるように応援できたらいいなと思う。
政治家のスキャンダル、エボラ出血熱といった記事が目立つ昨今の新聞だけに、林氏の文章に、久しぶりにほのぼのとさせていただいた。