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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

    息があっていましたよ
 「久しぶりにSさんからのメールだけど、何だろう」早速クリックする。「六月二十七日、私たちの患者会で公開講座を開催します。講師を引き受けていただけませんか。あなたの体験談はがん患者を勇気づけるでしょう」とある。私をこのように評価してもらえるのなら、気持ちよく引き受けよう。それで勇気づけられる人がいるのなら幸いだ。
 パソコンを立ち上げ、過去の講演記録・入院中に記したエッセイを読み、構想を練る。一時間という持ち時間なので、応援Tシャツ・マラソンの完走賞等も資料として準備しておこう。もし時間が余りそうになったら、エッセイを読んで聴いてもらう手法もある。そんなことも考えながらメモを作成し、Sさんに送る。
 私は機械物を苦手としているアナログ人間。メモをパワーポイントに直して使用できれば、聴く人に違和感はないだろう。それができないので時折メモを見ながら話をする、癪なようだが、事前に御断りを言っておくのが無難だろう。何かカンニングをしているようでもあるが、できないのだから仕方ない。
 当日の会場は広島市地域福祉センター。高速バスで出かけるのだが、家を出ようとすると雨、そして遠くのようだが雷の音。先日白銀でのライブと似た空模様。今日も素敵な出会いがあるといいなと思わせる。
 無事会場に到着し、Sさんにあいさつ。着席し、メモを見ながらおさらいをする。徐々に緊張が高まる。本日の講師は県立広島病院のS医師と私。順番は私が先。術後八年ともなると記憶が曖昧な部分がある。医学的に間違ったことを行って、後で訂正されるかと思うと一層緊張。でも私は一患者。多少の誤解は覚悟の上で思いを伝えることを重視しよう。
     
 「府中市から参りましたお皿に海で皿海と言います。時に血海と記す人がいますが私は平和主義者。血の海となる事態は避けたいと思います」「クスクス」笑い声が聞こえた。いいぞ。自己紹介で笑いが取れたらあとはスムーズに話ができるというジンクスがある。
 続いて治療経過、人生最大の危機、皆様に訴えたいことの順に話を進める。
 会場はずーと静かなので、聴衆の反応がよくわからない。でも、講演が終わり、休憩に入ると私のそばに来て話しかける人数人なり。よし、良い反応だ。
 次に県病院S医師による講演が始まる。「皿海さんの話はがんをよく勉強された人がまとまりのあるよい話をされました」と言われ、ほっとする。続いて「がんの治療は結果が大切ですが、経過も大切。皿海さんは経過が良かったから、良い結果を得たのでしょう。」とおっしゃった。
 さて、ここからは本題「がんとの付き合い方、向き合い方」まず「人によって生活・考え方は違うので、その人に会った治療法を提案することが大切」と言われた。いいぞ。こういう先生は好きになりそう。患者の思いがどうあれ、「標準治療はガイドラインに沿って」だけではたまったものではない。医師と患者はじっくり話し合い、納得の治療をしたい。
 この後は色々資料を使い、がんの基本的なことを分かりやすく説明された。もちろんパワーポイント使用で。その中で「常識で考えるのではなく、常識を考える」と言われたのが印象的だった。
 二人の講演が終わると、質問コーナー。会場からは深刻な問題も含め、たくさんの質問があり、活気ある有意義な時間だった。
 全て終了後、主催者である患者会Sさんが声をかけられた。「お二人は以前からの知り合いなのですか」「いえ、今日初対面です」「そうなのですか。とても息が合っていてそうは見えませんでした」よし、今日の講演、成功と考えてもよさそうだ。来月「看護学生との合同研修会」でも講師の予定だが、この勢いで頑張るぞ。