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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

     仕切り直し
 「組内に不幸があり、葬儀のお手伝いをすることになりました。予約日に行かないので、一カ月後に変更していただきたいのですが、どういった手続きが必要でしょうか」六月、岡山医療センターへ電話をする。我が家で葬儀、あるいは組内の行事に参加できるのは私だけなので、躊躇は不要。
 一カ月後の七月十八日、仕切り直しのつもりで岡山医療センター内科外来へ。受付を済ませて採血室へ。番号札をもらい、外のソファーに座って待っている。
 「何をしているのだ、早くしないか。順番待ちの人が多数外にいるのに」部屋の中から大きな声が聞こえてくる。外は外で「CTの検査があるので、採血は早く済ませたいのにまだ呼んでくれない。どうなっているのだ」と看護師に声を荒げている人。「受付順に呼んでいます。もう少しだけお待ちください」と看護師。
 皆さん「待ち時間は長く感じる」というのは分かりますが、カッカしないでください。検査の前にカッカすると良い結果がもらえませんよ。「興奮すると血圧が上がる」と言うじゃありませんか。ここは太っ腹で。おっと、病院内で太っ腹というとメタボということで薬がまた増えたりして。
 さて、私の順番となった。「いつもはどのあたりで採血するのですか?」と看護師。「このあたりです。いつも同じ所でするとどうなるのですか」「血管が固くなるといわれています。じゃあ今日は別の場所でしましょう」
         
 注射針を刺していたが「あれ、逃げやすい血管ね」逃げやすいとはどういうこと?血管は自分の意思で動くことはできないだろう。「あっ!ごめんなさい、少し漏れたみたい。針を抜いて別の場所で採血させて下さい」私は看護師さんに不要な質問をしたのだろうかと反省する。いつもの場所でスムーズに採血。「漏らしたところ、後で紫色になると思うけど、ごめんなさい」
 採血終了後は、食堂で遅い朝食を取り、読書して予約時間を待つ。今日は「日本は戦争をするのか―集団自衛権と自衛」(岩波新書)「シビリアンコントロールと言いながらも海外の危険な地帯に派遣をしていると、どうしても制服組の発言権が強くなる」という個所に、注目する。
 「皿海さんどうぞ」内科医に呼ばれ、診察室へ。「暑くなりましたが、走っていますか」と声をかけられたが、まずは血液検査結果の説明。HbA1Cは前回よりわずかに増加している。と言っても医療センターでの話。七か月前だ。府中で調べた一か月前と比べれば微減だ。私としてはまずまずの結果。朝食抜きの空腹血糖値は112、ちょっと高い。でも府中で調べる食後血糖値が110くらいだから不思議。「なぜ食後血糖値より空腹時血糖値のほうが高いのかな」とぼやく私に「そういうこともあります」食後の労働の影響か。
今日の結果、ほめられた数値ではないが、胃のない私にしてはぎりぎりセーフ。半年に一回なので「医療センターではよい数値を」と努力するだけに不本意。
 「低血糖で車の運転というニュースがありましたが、私の場合はどうでしょう」「あなたに出している薬では理論上、低血糖はあり得ないでしょう。でも、胃を全摘しているので、ダンピング症状の時に車の運転は危険です」食後すぐの運転は控えよう。
 血圧を測ると上が128.数字を聴いてにんまり。府中だと140になることもあるが、岡山だとこれくらい。安心感からか。逆に高い数値が出た病院だと「また高い数値だったらどうしよう」と緊張し、結果がだんだん悪くなるような気がする。血圧は心のありようが影響しやすい。
 「外科の先生と同じく、内科も今後は一年に一回の受診としましょう」と言われる。「ありがとうございます」
 振り返ると岡大病院で胃の手術をして今年の夏で八年目。岡山に来る機会がだんだん少なくなるということは、術後が順調、再発転移がないということ。少しさみしさも感じるが望ましい結果。今日は喜びだぞ。