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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

    自立と依存
 あなたは「自立」の反対後は何か知っていますか?それは「依存」です。それによって浮かぶイメージを記してみます。「健常者」とは何にも頼らず自立している人。「障害者」とはいろいろなものに依存(頼らないと)しないと生きていけない人。このようなイメージを持っている人はたくさんいると思います。
 五月十七日、「発達障害研修会公開講座」がリ・フレで開催されました。講師は社会福祉法人横浜やまびこの里・第2事業部長小林信篤(のぶあつ)さんです。有意義で分かりやすい講演でしたが、私が特に印象に残ったところを記してみたいと思います。
 私が以前障害者の方に聞いた話です。「ビルの上層部で行われた会議に参加していました。その時地震が起きました。「避難してください」ということになったとき、私は車いすを利用している障害者です。エレベーターに依存するしか避難の方法はありません。だけど健常者の避難ですがエレベーターはもちろん、エスカレーター、階段等依存できるものが複数あります。弱者である障害者の依存が単一で、健常者が複数。ちょっと違うのではと思いました。

          
 この話を聞くと、最初のイメージとちょっと違ったものを感じますね。「障害者」は依存先が限られてしまっている人たちであり、限られたものにしか依存できないのが現状です。
 健常者は、さまざまなものに依存できています。世の中のほとんどの者が健常者向けにデザインされていて、その便利さに、依存していることを忘れています。
 自立を目指すなら、むしろ依存先を増やすことを考えましょう。障害者の多くは、親か施設しか頼るものがないのが現状。依存先を親や施設以外にいかに広げていくかを考える必要があります。
 施設職員である私にとって、興味深く、そしてショックな話であった。「ここは自立支援法に基づく施設です。あなたの自立を支援します」と利用者に言うことが多々ある。だけど「その人の依存先を増やす」といった方向で支援を考えていただろうか。「依存するのを徐々に減らし、できるだけ自立しましょう」といった方向で考えていたような気がする。
 「今更就職できるような年齢ではない。私にはこの施設しかないと思う」という利用者が増えている。こういう人にこそ、依存先を増やす方向で考える必要がある。
 「困ったとき、相談できる所・人は確保していますか」とは言っている。本来は困って立ち往生しない様に依存先を増やしていく必要があると感じられた。
 我が身を振り返ったとき、がん患者にとり、高齢者である親を介護している者にとり、依存先をうまく増やしておくと、困ることが少ないのでは。
 人は社会的動物であり、さまざまな者、物に依存し合って生きているのだから。