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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

   ゼッケンの言葉、変えようかな
 目覚まし時計・ケータイのアラームをセットして枕元に置く。最近寝過ごすことがあるがこれなら大丈夫。明日十一月八日は始発電車に乗り、岡山威力センター外来受診の日。半年ぶりだ。
 予定の時間に到着。機械による受け付けをすまし、外科・内科の受付へ行く。指示に従い採血室受付へ。外科・内科両方から採血の指示が出ているので、8・9番と二枚の受付札をいただく。ソファーで待っているとほどなく呼ばれ、入室し札を出す。「名前と生年月日を言って下さい」「今日は五本採血します」エー、貧血の治療もしているのに五本も、と思うが口には出さず腕を出す。
      
 予約時間までの時間に余裕がないので食堂で朝定食ではなく、売店でパン一個と缶コーヒーを買って食べる。朝食抜きの身体にはとても心地よい。
 外科診察室前に移動し、着席すると本を開く。今回は階堂尊著「夢見る黄金地球儀」氏の作品にしては異例というか医療分野の話が全く出てこない。読み進み、面白くなったところで「皿海さんどうぞ」入室する。
 問診後、ベッドに横になり触診。術後七年ともなると「もしかして」という緊張感がなく、淡々としている。「血液検査・触診ともに異常はありません。順調です。この調子で」「ありがとうございます」「それでは半年後、五月に予約を入れておきます。今度はCTの検査をしましょう」「分かりました。ありがとうございます」一礼し、診察室を出る。
 これで術後七年半が無事に過ぎたことになる。最初に岡山大学病院でこの医師に説明を受けたとき、こんなに生きられるとは、フルマラソンを完走できるほど元気になるとはとても思えなかった。腹膜播種したスキルス胃がんでは奇跡的なことだと思う。Tシャツの背中に貼るゼッケン「スキルス胃がんに負けないぞ」ではなく、「スキルス胃がんを乗り越えて」に変える時期が来たのかもしれない。
 外科でもらったカルテを内科受付に提出する。検査結果等私の資料は何科であれパソコンで見ることができるのに、カルテを手提げバックに入れて持ち歩くのが何だか面白く感じる。
 「皿海さんどうぞ」よばれて入室。「地元の内科を受診できるようになってよかったですね」「はい、毎月岡山ではちょっと」と言いながら糖尿病手帳を提出する。半年ぶりなので、最近の数値を知ってもらうため。「今日の結果を記入しておきましょう」空腹時血糖値は先月より少し上昇しているが、HbA1Cは下がっている。貧血も問題なし。貧血といえば、貧血状態が続くとHbA1Cが実際より低い数値となって表れやすいが、改善されて今の状態ならまずまず。血糖値とがんは関連性があるので、こちらの面からも再発転移の徴候はないと考えてもよい。
 会計を済ませ、薬局へ。「鉄剤ですが、府中の先生は夕食後、こちらの先生は朝食後となっていますが?」薬剤師に問われる。「府中の先生は食間が長い方がよく効くので夕食後、こちらの先生は毎日ではなく二日に一回のむので忘れないようにと朝食後です」「そうなのですか」忘れっぽくて飲み忘れがある私には朝食後が正解なのかも。こちらの医師は人柄も診ているのかな。
 全てが終わると十一時四十分。ちょうどよい時間。院内の食堂へ行き、本日のB定食「カキフライ入りカレー」を食べる。A定食はハンバーグだが、カキは今シーズン初なので選んだ。
 バスで岡山駅に帰ると例のごとくコインロッカーに荷物を入れ、市内をジョグ。半袖Tシャツに短パンだが、今日は暖かく汗がにじむ。
 帰宅後スーパーに行き、ハマチの刺身を購入。夕食に出し、日本酒で両親と乾杯。糖尿病内科の先生、ごめんなさい、今日だけは許して下さい。