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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

   看護学生と研修    皿海英幸
 「短いスピーチほど、しっかり準備をする必要がある」最近読んだ本に記してあった。限られた時間内に「何を、どう伝えるか」しっかり準備しておかないと、思いがきちんと伝わらない。
 「それでは」と準備に取り掛かったのが八月上旬。九月三日、倉敷市玉島市民交流センターで「生きがい療法研修会 看護学生と共にがん克服体験談を学ぶ」が開催されるが、私は「スキルス胃がん術後七年を乗り越えて」と題して十五分で体験を語る予定。
 ☆自己紹介 ☆治療経過 ☆人生最大の危機 死の恐怖・誘惑 ☆フルマラソン完走 ☆リレーフォーライフのこと ☆私の体験から皆様に伝えたいこと 
七項目を立て、メモを作成する。空いた時間に読みあげる。時間を計るとちょうど十五分。学生の表情を確認しながら話していたら、もう少しかかりそう。少し削除しておいた方がいいだろう。
当日の朝を迎える。準備はしてきたし、体験を語るのは今回が初めてではないが、そわそわして落ち着かない。だけどそれにこだわると、森田療法ではよくないこと。「不安は不安とし、今できることをする」不安を感じながらも「今まで、ユーモアを交えた自己紹介で笑いがとれたら、その後はメモを見なくてもきちんとできてきたはず」と言い聞かせる。
新倉敷駅前で昼食をとり、会場へ。開会前、スタッフによる打ち合わせ。体験を語るのは三名だが、私は今回も三番目。前の人の話が伸びた場合、はしょって時間調整をしていた私だが、「休憩時間で調整するから、今日は予定した通りの体験を語ってください」と言われる。生きがい療法伊丹先生には「皿海さんのすごい体験を生で聞いたら、学生も感激ですよ」と声をかけていただく。
十四時開会。「精神腫瘍学を活用したがん治療」と題する伊丹先生の講演で始まる。十四時四十分、いよいよがん克服体験談へ。前の二名、どちらもほぼ予定の時間内にスピーチをまとめられた。そこで満を持した形で私の登場。
広島県を出ると私は珍名さん。そこでホワイトボードに皿海と書く。「お皿に海です。平和主義者ですので間違っても血の海と書かないでください」あちこちで笑い声。予想以上に盛り上がる。これなら今回は大丈夫との確信を感じる。
スピーチ最後は「私の体験から皆様に伝えたいこと」○諦めない。諦めるより明らめる。 ○苦しい時こそユーモアを忘れない。以上二点を強調し、終了する。予定時間より一分オーバー、まずまず。
体験談の後はグループワーク。総勢三十五名の学生が三グループに分かれる。がん体験者もそれぞれのグループに入る。学生たちは途切れることなく、私に質問。相手が看護学生なので、私が入院した際、看護実習生との交流した内容を交えながら質問に答える。それを熱心にメモする彼女たち。
       
グループワークを終えると、学生たちはまとめの時間となる。まとめた内容はグループ代表が発表する。まとめの時間は体験発表者&スタッフは部屋の片隅で休憩。例年ならティタイムだが、今年は違った。ワイン、いやよく見ると「蒜山高原葡萄液」をコップに注ぎわけている。「皿海さんの術後七年を祝って乾杯」伊丹先生の音頭で皆が乾杯。サプライズに弱い私だがこれには感激。家族以外の人多数に祝っていただきうれしい限り。特に生きがい療法スタッフは自分ががんにかかり、どうしたらいいのか暗中模索だった時、話し相手になってもらっていたのでとてもうれしい。
研修会が終了すると、皆で玄関前に並び、記念撮影。その後、引率の先生に「皿海さんの話に元気をいただきました」と言われる。また看護学生には「皿海という名前、ちゃんと覚えました」と話しかける者あり。私の体験談で元気が出る人がいるのなら、がん患者とかかわる際の参考になるのなら、これからも機会を与えられたら喜んで話しに行くことにしよう。たとえ、話し始めるまで、緊張でそわそわと落ち着きない時間を過ごすことになろうとも。