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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

   予想以上のタイム    皿海英幸
 
 「へぇー、こんなこともあるのか」十一時十分京都駅着の高速バスが十時五十分に着いた。予定より少し遅れるのが当たり前と思っていたのだが。市内在住の息子とここで待ち合わせ、昼食を共にする予定だが、当然のごとくまだ来ていない。
 十五分後息子と合流。「地下の食堂街はすでに込んでいるだろう」という息子の意見に従い、駅から少し離れた「餃子の王将」で食事。「この後どうするの?」と息子。「清水寺と二条城を見てホテルに入ろうと思っている」「おい、清水寺へは坂道を歩かなければならないのだぞ。明日ハーフなのに大丈夫か?」かまうものか。私はフルマラソンの練習ということでハーフに出場するのだからもう少し負荷をかけてもいい。それに時間はたっぷりある。坂道、恐れるに足らず。
 予定通り見学し、二条城付近のホテルへチェックイン。大会前日はカーボローディング等食事について説く人がいるが、私は趣味で走っているので好きなものを食べる。今夜は塩サバ定食。テレビはカードを購入しないと見られないので好都合、読書をし、少し早めに就寝。
 いつも通り四時半に起床。まずは熱いお茶をゆっくり飲み、しばし読書。格別不安や緊張感はない。六時四十分、バイキング方式の朝食。ご飯・味噌汁・梅干し。あえてあっさりした和食で済ませる。
 七時十分ホテルを出て、地下鉄で会場宝ヶ池公園へ。少し待って八時からの受付を済ませる。スタートは九時。おにぎり一つをゆっくり食べ、Tシャツ・ランパンに着替え散歩しながらスタートを待つ。
 今回の大会「京都チャリティ・ファンラン」は「いつも健康のために走っているあなた、一日だけ人のために走ってみませんか」を合言葉に開催されている大会。会費から必要経費を引いた残金は発展途上国支援を行っているNPOに寄付されている。そのため開会式ではこうしたNPO代表による感謝の言葉がある。年々参加者が増えているので、寄付金額も増加しているのはよいこと。
 九時、いよいよスタート。曇りであり、周りに木々の緑もたっぷりあるので、六月にしては走りやすい。まずは宝ヶ池周回道路を八周。間違わない様に輪ゴム八個を手首に通し、一周するごとに回収箱へ。無理をせずゆっくりスタート。集団がバラけたところで同じペースの人の後ろについて走れば楽に走ることができる。いたいた。白い帽子にポニーテールの女性。
 六月にしては涼しいとはいえ、走り続けると徐々に蒸し暑さを感じる。直射日光の心配はないので帽子を道のわきに投げ込む。周回コースなので後で拾うことは可能。
 エイドステーションは二箇所。水・麦茶・一口大に切ったバナナが置いてある。一週ごとにバナナ一切れを食べればエネルギー切れの心配はない。三週ほど一緒に走ったが、白い帽子の女性は少しペースが落ちた。残念だが追い抜く。
 前方、鮮やかな色のタイツ姿で走っている女性とペースが合いそうなので追い付き、後ろを走る。いつものマラソン大会より少しペースが速いかなという気がするが、ハーフだから大丈夫、何とかなるさ。「えっ!」前方の女性、カメラの撮影地点で両手を広げVサイン。余裕で走っているのだな。この分だとラスト一周で離される予感。
 予感的中、だけど無理をしない。もうすぐ術後七年目で「がんのことは忘れて考えても」と主治医に言われたが胃のない私はマイペースが大切。
 八周したらA地点とB地点を二往復してゴールを目指す。今日はばてることなく気持ちよくゴールできそう。これも大会スタッフ・二人の女性のおかげかな。
 ゴールの瞬間時計に目をやると二時間〇分五秒。予想以上の好タイム。今の時期、ハーフをこのタイムで完走でき満足。夏にはクロスカントリー等練習内容を豊富にし、楽しく走っておこう。そして冬には今年も気持ち良くフルマラソンを走ろう。めどがついた気がする。