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2012 - がん友、皿海英幸さんのエッセイコーナー

   ほっと一息ついています  皿海英幸
 「皿海さんは有名人なのですね。皆さんがあいさつをされて通られています」ボランティアとして参加の女性が声をかける。「私、初回から連続してルミナリエステージで思いを語っています。皆さんがそれを覚えているのでしょう」リレーフォーライフ(RFL)受付が始まると、私が担当するサバイバーズフラッグ作製ブースはあわただしい雰囲気に包まれた。用意した布にサバイバー(がん体験者)が手形を押してもらうことにより、フラッグを作成する。これはオープニング直後の一斉更新の際、先頭を歩く人が使用するものなので早めに作成する必要あり。
皆さんの協力により、思ったより早く二枚のフラッグが出来上がった。その際、ペンキを使用するので、使い捨ての手袋が必要だ。枚数が足らず、後から来られた人は手形でなく、サインとなったことは申し訳なく思っている。
「あれ、もう一枚フラッグ用の布がありますよ。少し小さいけれど」と声をかける。「それは個人参加のサバイバーに持ってもらうフラッグよ」他の実行委員が教えてくれた。粋な計らいだ。私は第一回の時は一人で参加した。「一斉更新です。並んでください」といわれて、チームで参加の人はチームのフラッグを先頭に並ぶが、個人だとフラッグがないし、どこに並んだらいいのか分からず、躊躇した経験がある。個人用のフラッグを持つと駆け出し、個人参加の人に声をかけて整列してもらう。
「皿海さん、早く先頭に並んで」そんな私を見つけた実行委員長が駆け寄り声をかける。忙しい委員長に迷惑をかけ、申し訳ないと思いながら、行進の先頭に立ち、委員長と共にサバイバーズフラッグを持って行進。マーチングバンドに合わせて歩くと足は自然に通常より高く上がり、小気味よく更新する。だけど、行進といい、ルミナリエステージといい、いつも陽のあたる場所で優遇していただき感謝と共に申し訳なさを感じる。
私には介護が必要な高齢の父がいる。心の病を患う娘がいる。体調のよい時悪い時の波が激しすぎて家族は振り回されることが多い。「外で活動するより、まずは家族の世話をしっかりすることのほうが、よいのだろうか」と悩みながら実行委員会の会議に参加することが多々あった。「父さんはがんを克服し、外で活躍できていいわね。でも治らない私は辛い」と娘に言われた。
そんなこともあり、「RFLに行きたいけど体調が不安だからどうしよう」「RFLに行きたいけど、福山は自宅から遠いな」そんな人たちの思いを大切にする実行委員でありたいと思った。
「ホームページを充実させよう」という提案があり、みんなの広場・がん友のエッセイというコーナーが設けられた。よい傾向になった。RFLが9月22日~23日だけでなくなった。インターネットを使用している人は自宅でいつでもRFLに参加することが可能となる。私は自分の思いを素直に記し、「がん友のエッセイに投稿した。
また、エフエムふくやまでRFLへの思いをリレー方式で語る企画もよかった。ホームページを通し、動画ラジオとして後日利用することができる。
「写真展を開催しよう」という提案があり、福山市で、そして府中市で写真展を開催した。これにより、当日参加はできない人も雰囲気だけは味わってもらえたのではと思っている。
今回もルミナリエステージに登場させていただいたが、「がん克服体験」というより、「人生大大の危機、死の恐怖・誘惑」というテーマで話させてもらった。「治療経過が順調でない方、絶対にあきらめないでください。夢・希望は持ち続けてください」と呼び掛けた。
だけど、やはり楽しんで過ごした二日間だった。「エッセイ読んでいるよ。人柄が感じられる文章だ」「スピーチ、わかりやすかった」例年以上多数の人に声をかけていただいた。
「皿海さんのエッセイに『RFL実行委のTシャツを着て様々なところでジョギングをしている』と記した部分がありました。帽子も実行委の物があればいいでしょう。私にプレゼントさせて」といい、帽子をくださった方がいた。これからますますRFLのTシャツ・帽子で各地をジョギングしたいという気持ちになった。
「皿海さんのスピーチを聞き、『いいな』と思いました。写真展で後ろ姿を見て、今度会ったらTシャツの背中にサインしてもらおうと決めました。サインをお願いします」という女性。もちろん喜んでそして照れながらサイン。
「このサインを見ていると、控えめで誠実な人柄だとよくわかるね」とアンダンテ(乳がん患者会)会員。「ちょっと待って。Tシャツを机上に置いてのサインなら、大きく自由に書くこともできるけど、着たままで書くのは難しいですよ」「そうね、あなたなら、異性を意識して手が震えてさぞ書きにくかったでしょう」いつもアンダンテのお姉さま方にはかわいがってもらっています。ところでなぜか私は正面より、後ろ姿のほうに人気があるようです。「スキルス胃がんに負けないぞ!」と記したゼッケンを背中に着けてRFLに参加しているからでしょうか。
聴覚障がい者中心の和太鼓チーム「天手鼓舞」そして精神障がい者保護者会運営の「ふれあい喫茶」と障がい者と交流できたのも今回の特徴と思う。がん患者も障がい者も周りの人たちの理解があれば、暮らしやすくなる。いわゆるQOLが高くなる。
RFLは二日間で終わりとしたくない。ホームページを通して、ささやかでもいい、何らかの形でがん患者との交流・支援となればいいと思っている。でもとりあえず、今回の休日はゆっくり過ごしてみたい。